リンゴ／今も

走ることに慣れた速さで息をする　見渡す街並
何処に進むのか　薄れがかる　かつての青空
私の影を踏んで先へと進む　かつての花の色
何処に進むのか　薄れがかる空

EGO-WRAPPIN'「かつて」より




薄汚れた廃屋に独りぽつんと佇み空を仰ぐ。
乾燥されて冷えた空気。
時折聞こえてくる疾しい声。
男の荒い息使いがしだいに大きくなっていく。
ウィスキーとイソジンを混ぜた液体でマーキング。
はしたない衝突音。並ぶギャラリーの影。
次から次へと運ばれては捨てられていく。そういえば、
横には大事なものがあったのに、
気付くと誰かに持っていかれてしまっていた。
私は何処に進んでいるのか、
もうさっぱり、薄れがかる空。