ポテチの水彩絵の世界にようこそ!
気分でコメントや画像とか、恐いのや面白い毒ある話とか、
現実の花の色と違ったりとか、妙な感じです。
今から10年程前の話です。
当時のある日、高校で美術の教師をしていた姉がアトリエ用にと、
2DKのボロボロなアパートを借りました。
その部屋で暮らすわけではなく、絵を描くためだけに借りた部屋。
「ちょっと、姉さん! せっかく借りてるのに住まないなんてもったいない!」
そう思った私は姉に頼み込んで、その部屋で1人暮らしをさせてもらうことに。
その初日。
私はウキウキしながらアトリエの部屋に帰宅しました。
姉からくれぐれも戸締りに気をつけるようにと言われていたため、
帰ってすぐに玄関に鍵とチェーンをかけました。
その後、夕飯を作ったり、本を読んだりして楽しく1人の時間は過ぎていきます。
気付くともう夜も更けていたため、もう一度戸締りをチェック、
それからガスの元栓もしっかり締めて、眠りにつきました。
しばらくして、多分、午前2時過ぎごろだったと思います。
玄関のドアがガチャっと開く音が聞こえました。
どうやら姉が絵を描きに来たらしい。
こんな真夜中に頑張るなぁと、ウトウトしながら思っていると、
私が寝ている隣の部屋に入っていったみたい。
その隣は画材やらキャンバスやら置いてある部屋。
そこで、姉はブツブツ言ったりクスクス笑ったりしてる様子。
うーん、やっぱり芸術家と怪しい人って紙一重だよなぁ、と思いつつ、
いつの間にか寝てしまってました。
朝、目が覚めると姉はもう帰ったようで居ませんでした。
姉の絵に対する情熱は尊敬に値するよなぁ、と思いつつ、
私は仕事に出掛ける準備をして家を出ました。
そして玄関の鍵を閉めた時に、突然、恐怖に襲われたのでした。
それ以来、私がそのアトリエに足を踏み入れることはありませんでした。
時計を見ると昼過ぎ。さて、そろそろ出かけるか。
ああ、まだ顔洗ってなかった。
面倒くさいけど仕方が無い。
洗面所の水を出してジャバジャバ顔にかける。
洗顔料を指の上に乗せ、泡立てて顔に広げ、マッサージしながら洗う。
コポコポと排水溝に流れていく水の音が響く。
少し水流しすぎたな。そろそろ洗い落とすか。と、手探りで水を探す。
あ、あれ? どこだ? 手に水がなかなか当たらない。
泡が目に入るのをこらえながら、直接目で探す。
蛇口、蛇口....どこだ? ああ、あった。
蛇口をひねって水を出す。
水を顔にかける。....やっと洗い落とせた。
顔にタオルをあて、水気を切る。
ああ....なんか洗面所の鏡見るのが怖いな。
ヒゲまだ剃ってないけどいいや。
そのまま逃げるように家を出た。
最近、パパが早く帰ってくるから嬉しい。
最近は学校から帰ると毎日家にいる。
いっぱい遊んでもらえるの。だから、とても幸せ。
この前は、パパとママとリサので洗濯物をたたんだ。
干してあるものをたたんで、押し入れにしまったの。
とっても上手にできたんだよ。だから、今は毎日やってあげるの。
こないだ学校から帰ったら、パパもママもいない。
退屈だからまた洗濯物をたたんであげた。
でも、パパとママのズボンはまだたたんでない。
いつもと違い部屋に干してあるけど、いくら引っ張っても取れない。
ズボンにくっついてた靴下は取れたんだけど。
だからまだ部屋にぶら下がったまま。
ある家族が妻の実家に遊びに行くために田舎までのバスに乗っていた。
山のふもとあたりまできたときに、子供が「おなかへった」とだだをこね始めたので、
しょうがなく途中のバス停で降りて近くの定食屋で食事をすることにした。
食事が終わり定食屋に設置されているテレビをふと見ると、
さっきまで家族が乗っていたバスが落石事故で乗員全員死亡というニュースが流れていた。
そのニュースを見た妻は、「あのバスを降りなければよかった....」と呟いた。
それを聞いた夫は、「何を馬鹿なことを言っているんだ!」と怒鳴ったが、
すぐに「あぁ、なるほど。確かに降りなければよかった....」と妻の意図に気づく。
ある日、彼からムービー付きのメールが届く。
見てみると自殺する内容だった。
縄に首をかけ首を吊り苦しそうにもがいて彼は泡を吹きながら静かに。
そこでムービーは終了した。
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「ゲームをしないか?」と老人が男に言った。
老人が説明したゲームの内容は次の通り。
箱の中に多額の賞金が入れられており、男が見事箱を開けられたら中の賞金は男の物。
箱はとても頑丈で、素手で開けるのは不可能だが、まわりには斧などが置かれている。
時間制限などは一切無いとのこと。
男は是非やらせてくれと答えた。
男が金を得るチャンスがあるのに、リスクは無なさそうだったからだ。
参加を表明した男に老人がこう言った。
「実は箱にたどり着くまでにはいくつか難関がある。
5万円払えば賞金のすぐそばからスタートさせてやろう」
男は笑顔で5万円を差し出した。
ゲームが開始した。
スタート時から賞金は男の目の前にあった。
夏休みって事で彼と遊園地のお化け屋敷に入った。
とにかく私は怖がりで、中が真っ暗なだけでもうガクブル。
彼の腕を肘ごと抱え込んで、目も瞑って俯きながら歩いた。
彼に私の胸が肘に当って気持ちいい〜とか言ってるけど、
震えがくるほど恐くて怒る気にもなれなかった。
彼は「こんなん作りもんじゃん」って言うんだけど、
私はもうキャーキャー叫びまくり。
目を瞑ってて何も見えないから、
彼がたまに「うわっ!」とか言うだけでビクビクしてしまった。
最後の方なんて「もう少しだから頑張れな〜」なんて彼に背中をさすられながらも、
半泣きの私は何とか、出口まで歩いた。
外に出て彼の腕を放すと、くっきりと私の手形が付いてて、どんだけだよ、自分〜と
あまりのヘタレっぷりに笑ってしまった。
老人「本当にこれで若返れるのか?」
男「はい。我社の開発したこの機械で貴方の細胞から全盛期だった若い肉体を生成し、
貴方の今の記憶を入れることで記憶はそのままに体だけは若返ることができます」
老人「そうか.... お願いするよ」
そして男は老人をベッドに寝かせ、上からシートを被せた。
それから数時間経過。
男「大変お待たせしました」
若者「ありがとうございます。こんなに上手くいくとは....
ところでこの古い体はどうするんですか?」
男「こちらで処分いたします。またのご利用お待ちしております」
そう言うと男はベッドを焼却施設まで運んで行った。
(おお。前の誰かは若返りに成功したようだな。やっと俺の順番か....)
見分けのつかない双子の幼女が誘拐された。
双子はガムテープで目と口を塞がれた。
犯罪者は姉の耳元でヘリウム声になり、こう囁いた。
「抵抗したり逃げたら妹を殺すよ」
さらに犯罪者は妹の耳元でヘリウム声になり、こう囁いた。
「抵抗したり逃げたら姉を殺すよ」
とある社長が秘書を採用するに当たり、心理学者にあるテストを頼んだ。
3人の候補者に心理学者が1人ずつ質問した。
「2と2を加えるとどうなりますか?」
「4になりますわ」と第一の候補。
「22にすることができます」と第二の候補。
「4にもなるし、22にもなります」と第三の候補が答えた。
心理学者は社長に結果を報告した。
第一の娘は明快な答えをし、第二の娘は思慮深いところをみせた。
第三の娘は明快でもあり、同時に思慮深さも示した。
以上が心理学的所見だが、最後の決定は雇い主である社長が下すべきであると。
「2番目の娘にしよう」と社長が決断した。
「素晴らしくキレイな眼をしているし、胸も大きかったからなぁ」
採用が決まって早々に、その秘書が会社の金を横領した挙句、
社長の息子と駆け落ちした。
そこでその社長と別の秘書の会話。
「それにしても、社長。本当に彼女には困ったものですね。
しかし、そのうち持ち逃げした金もなくなって後悔するんでしょうが....」
「もう後悔してるんじゃないかな。息子の方は送り返してきたからね」
とある税務署にて、署員と市民の会話。
「なぁ、税金ってのは、どうしてこう高いんだ? ちょっとは市民の生活も考えてくれよ」
「そうおっしゃらずに。税金は笑顔で納める、これが市民の務めなんですから」
「それは初めて知った。安心したよ!!」
彼は満面の笑みを浮かべ、こういった。
「現金でなくてもいいとは!!」
社長がロールスロイスで砂漠を横断するという冒険旅行を楽しんでいた。
ところが、過酷な旅が堪えすぎたのか、彼の車は砂漠の真ん中で故障してしまい、
全く動かなくなってしまった。
そこで、彼はいざという時に備えで車内に積んであった無線機を使い、
業者に連絡をとることにした。
すると、やがて水平線の彼方から小型飛行機が現れて、
彼にピカピカのロールスロイスの新車を届け、
故障した車を積み込むと瞬く間に引き上げていった。
あっけにとられながらも対応の早さに感心した彼はそのまま旅を続け、
無事に砂漠を横断することができた。
さて、旅から帰って来た社長だが、
不思議なことに彼の元にはいつまでたっても業者からの連絡や請求書が来ない。
新車を飛行機で届けてもらったのだから、
さぞや高い金額を請求されるだろうと思っていたのに。
不審に思った彼は業者に連絡してみたが、
業者の方はそんなサービスはしていないという。
驚いた彼が確かに砂漠でロールスロイスが故障して....と説明を始めると、
相手は途中でその言葉を遮ってこう答えた。
「お客様、ロールスロイスは故障いたしません」
ある残虐な殺人事件に関する裁判だった。
開廷直前、突然、陪審員の1人が起立して言った。
「裁判長閣下、私を陪審員から除外してください。
今、私はあの男の顔を見て、こんな悪人面をした男は犯人に間違いない、
という先入観を抱いてしまいました。
これでは公平な判断とは言えません。
ですから陪審員から除外してください」
裁判長はその陪審員を叱責して言った。
「お黙りなさい。あなたが指さしたのは、被告ではなく検察官です」
会社で皆が仕事をしていると、社長が現れ、皆に聞こえるようにジョークをいった。
その場にいた者たちが大声で笑い出したが、1人だけ笑わない男がいた。
会社の者が「ジョークが面白くなかったの?」とその彼に聞くとこう答えた。
「私はここの社員じゃありませんから」
牧師と弁護士が死んで天国へ行き、それぞれ部屋が与えられた。
牧師の部屋はシンプルで、机と椅子に聖書が置かれているだけであった。
一方、弁護士の部屋には豪華な家具が並び、
世界中のお酒、何人もの美女たちが用意されていた。
さすがに弁護士は不思議に思い、神様に聞いてみた。
「私は一介の弁護士にすぎません。これは何かの間違いではありませんか?」
すると神様はこう答えた。
「これでいいんですよ。何しろあなたは天国にやってきた初めての弁護士ですから」
大学の水球部の先輩OBから聞いた話です。
4年前、その先輩と付き合ってる彼女と、
彼女の知り合いの男女と4人でデートしたことがあったそうです。
遊園地の帰りに食事していたら、彼女の友人の連れである女の子の方が
「ヤマニシさん見に行きたい」と言い出した。
ちなみに、先輩とその彼女の友人の男女ってのは面識なくて、その日が初対面だった。
先輩の彼女が、男の方と同じ中学だったとかの仲で、男の方は大人しい感じだったらしい。
もう夜も遅いし、先輩も彼女も遊び疲れてヘロヘロだったから帰りたかったし、
しかも、その女の子ときたら、勘違い爆発な奴で、
途中から先輩もキレ気味だったらしいんだけど、彼女にベタ惚れなのか、
もう1人の男が始終ヘラヘラ機嫌取ってるような感じだったんで、
こいつら付き合ってるわけじゃねーのかよ、ってなんだかなー。
まぁ、この場はこいつの顔立ててやっとこかっ!みたいなノリで、
結局、行くことにしたそうです。
ちなみにそのヘラヘラくんと勘違い女(気の毒なのでX男とY子にしとく)は、
ネットの掲示板か何かで知り合ったらしいとのこと。
まぁ、要するに、ちょっとインドアな感じのカップルだったってことです、はい。
ちなみに "ヤマニシさん" とは、その頃、地元でちょっと有名になった話で、
とあるラヴホの廃屋に "ヤマニシさん" ってのが居るらしくて、
こちらから「ヤマニシさん、ヤマニシさん」て呼ぶと、
「もーす、もーす」とか何かいう声で応えるらしい。(なんだそりゃ!?)
その廃屋の場所は、町中から車でちょっと行ったところに、
ラヴホがバンバン立ってる山があるんだが、その裏にあるらしい。
そこは、基本的に表から車でぐるっと上って、
降りていかないとそっちに行けないような立地になってるから、
確かに車じゃないと、裏から歩いて上るしかない。
まぁ、車があればこれ幸い、というのはわかるんだけど、
なんだかこの女、とことんまで図々しい奴だなぁ、と先輩も思ったらしい。
Y子はそうとうはしゃいでいたらしい。
誰もオマエの話なんて聞きたくない!っちゅうのに、
自分の知ってる怪談話をペラペラしゃべりだしたりして、
....まぁ、後になって考えると、その時すでに狂しい状態に入ってたのかもしれないと、
先輩が言っていた。
結局、もう夜中だし、車で乗り付けるわけにもいかないので、
山頂から少し下った駐車場に車を止めて、Y子が教わったっていう
廃屋の場所まで歩いて行った。
その廃屋っていうのが、元華族の家だったお屋敷をバブル時に全部つぶして、
2件並びに家を建てたんだけど、持ち主が借金か何かで夜逃げしたのか、
居なくなってからというもの、今だ放置されてる家のことらしい。
最近はその1件は貸家にするつもりで改築する予定になっていたらしいけど、
それもそのままとのこと。
屠殺場や精肉工場のような、外から見えないようにやたら高い生け垣が見えてきた。
その中に屋敷が2件並んで建っていた。
Y子は誰に聞いてたのか、どんどん独り歩いていって、一方の屋敷に入っていく。
先輩と彼女もだんだん、嫌な予感、来てはマズかったかな、という気になってきて、
一応年上だし(先輩は高校浪人かつ大学も浪人)、
ここで止めとこうかな、と思ったんだけど、そうも言ってられず、
あれよあれよという感じで仕方なかったらしい。
Y子の髪がやたら長かったらしいんだけど、
もうそれが肩に付かないくらいの早足だったそうです。
表は草ボウボウなんだけど、屋敷そのものは案外きれい。
建物は暗かったけど、街灯はけっこう明るかったらしい。
なんだか思ったほど凶悪な雰囲気でもなかったし、門扉も開いていたので、
そのまま中に入っていった。
後ろからX男が黙って歩いてきているので、先輩が「君、大丈夫?」って聞くと、
「すいません、僕が彼女にこの話教えたんですよ....」って、
ものすごく済まなそうにしてる。
「ああ、別に暇だし、気にせんでね。"ヤマニシさん" の話ならけっこう知ってるし」
と先輩が言うと、彼が異常なほどブルブル震えだして
「すいません、すいません、すいません」と、なんでか、やたら謝りはじめた。
で、ここから先輩自体がよく見ていなかったということで、よくわからないんですけど、
先輩の彼女が言うに、玄関先にいたY子が、
いきなり庭の方にダーって走って回りこんで行って、
縁側のサッシを開けると、そこから顔だけ差し入れて
「おおねたたまつり、もーすもーす」と叫ぶようなデカい声で喚き始めたらしいんです。
そんな声が聞こえたんで、先輩が血相変えて走って行ってみると、
Y子は縁側から靴脱いで上がろうとしてたらしい。
足を4の字にして右足のスニーカーを左手で脱がすためにつかんでいる様子。
先輩曰く、スニーカーの裏が妙に白かったんで覚えているらしい。
(我ながらヘタな表現、どーゆー体勢だったか伝わるかな?)
先輩は「これはヤバイ!」と、慌ててX男と2人がかりで
彼女を引き留めて押さえたんですけど、
それがけっこう強い力だったみたいです。
放っておくと何回も「もーすもーす」って言うので、彼女にハンカチ借り、
Y子の口の中に押し込んで言えない様にして、両脇から抱えて連れて帰ったったらしいです。
その後は、特に事件も起きずに、なんとか車のところまで辿り着けたとのこと。
Y子はずっとバタバタしっぱなしでしたが、車に入ると落ち着きました。
反対側で抱えてるX男も、ボロボロに泣きながら「もうす....」と小声で言ってたのが、
なんか気味悪かったそうです。
それからすぐ、解散するのはちょっと気味が悪いということで、
4人で同じラヴホに入ったそうですが、
X男とY子は、朝が来ても放心状態のままだったそうです。
もちろん、なんにもできなかったそうです(笑)。
その後、X男とY子は別れたということでした。
(元からつきあってなかったという話もある)
やっぱりY子はちょっと狂しくなったみたいで、半年大学を休学したらしい。
けっこう地元では通りのいい大学の、理系の学部に入ってたんだけど、
そのまま退学して、芸術系の専門学校に入り直したとのこと。
この1年後に偶然、先輩の彼女が会った時には、
髪はベリーショートにしてたらしいです。
その時に少しお茶したらしいのですが、Y子はやたら後ろ髪を気にしている様子で、
時折、しゃべりながらも自分の手で引っ張ってたのが、なんか変だったとか。
ちなみにX男とは音信不通だそうです。
この話聞いたのは、この先輩がOBとして部活の合宿に差入れに来た時で、
俺としては、後輩の面倒見が良くって超男前で今でも水球界で活躍している憧れであって....
はっきり言って、実はゲイな俺はかなり惚れ込んでいたのですけど、
その話の彼女と結婚していたとは.... まぁ、そんなことはいいんだけど、はい。
この話を聞いてから、なんだか気になっていたので、
ちょうど付き合い始めた同じ部の奴が車の免許取ったというので、行ってみると、
確かにそれっぽい屋敷はあった。
すごく気味悪かったですが、一緒に行った奴が馬鹿だから、
ダーって走って入って、玄関のベル押して戻ってきた。
つい最近、ピンポンダッシュした奴がバイクで事故起こしたけど、特に怪我はなし。
まぁ、影響されにくい人とそうじゃない人がいるってことでしょうかね。
結局、"ヤマニシさん" は何だったのか?
その土地に呪縛された死霊か、それとも噂が独り歩きして形成された念の塊か。
....何はともあれ、影響されて触れないに越したことはないというのは確かなようだ。
私の田舎では "こっけさん" といって、
"こけし" のような呼び方をすると大人に相当怒られました。
中学生に上がりたての頃、半端なエロ本知識で
「電動こけし」という単語を知ったクラスの友達が "こけし" 、"こけし" と連呼してるのを、
指副担に見つかり、無茶苦茶怒られてました。
ちなみに大学に入って初めて知ったのですけど、
「指副担」なんていう役職はほかの地域にないんですよね。
指副担というのは、生活指導副担という意味で、
別に何の教科を担当してたわけでもないです。
野球部のコーチみたいな感じで、毎日学校には出てくるのですが、
だいたい用務員室で茶飲んで定時前には帰るような感じでした。
学校行事の中で、踊りみたいなものは、指副担の先生が指揮をとってました。
運動会で、必ず「メイポールの祭り」みたいな踊りを、伝統的にやらされてたのですが、
これは指副担の独壇場でした。
列が乱れたり、ポールから引いたリボンがたるんだりすると怒るような。
私たちにとって組体操よりぜんぜんこっちが大事でした。
そういえばその先生、体育教師の数倍イヤな印象であったのを思い出します。
高校に入って、地元の青年会に入ると、"こっけさん" のあらましは聞かされるのですが、
「 "こっけさん" という地神さんは伝統だから、行事は守らないといけない!」
てな感じの話のみなので、はっきり言って要領を得ません。
それは当時の私たちは誰しもがおもうところで、高校生にもなると、
面白半分にいろいろ妙な噂が囁かれてました。
例えば....
XX中学の裏にある井戸が本尊で、毎年1人生贄にされるとか、
高校出て町に出る時は井戸に後ろ髪を納めさせられるとか。
噂は噂でしたけど、実際私がいたころは後ろ髪を伸ばした奴が多かったです。
単なるヤンキーだったのかもしれないですけど。
現在、同じ大学の同郷の後輩が近くのマンションに住んでいて、遊び友達なのですが、
彼の叔父さんが指副担やってたということで、
ある日、私は "こっけさん" について聞いてみると、いろいろ教えてくれました。
私たちが "こっけ" と読んでいるのは「固芥」と書くらしいです。
明治に入ってすぐの頃、飢饉と水害の土砂崩れで、
村が、外部との交通が遮断されたまま、ひと冬放置されたことがあったそうです。
その年の12月28日のこと(旧暦かどうか不明)、
とある知恵の遅れた7歳の男の子が、村の地区の備蓄の穀物を食べてしまったという
些細な事件が起こりました。
その男の子は村の水番の男が、実の妹との間につくった子供で、
この地では、水番が罪を犯すと翌年は日照りになるという迷信がまだ残っていました。
そこで彼は責任感が強かったということもあり、
自分の子供を殺して村に詫びようとしたそうです。
実際、噂が知れ渡ると、「子供を殺せ」と書いた手紙を投げ入れるような嫌がらせが、
すぐ始まったそうです。
当時、水番に不利に扱われていた家も多かったし、
実際、穀物の管理責任は水番にあるので、
そういうのが起こっても仕方ない状況ではあったそうです。
年明けて、1月28日の深夜、
いくら何でも水番が自分の息子を殺すのを容認はできませんので、
このことは村全体で考えようと談判していたところ、
水番の妻が泣き叫びながら世話役の家に走りこんで来ました。
「亭主が首を括ったので来てくれ」と言うのです。
水番の家に行くと、井戸の上に「井」の字に竹を渡して、
そこから首を吊るすようにして絶命している水番の男がいました。
あまりの酷さに世話役たちが顔を背けていると、
渦中の子供がひょっこり傍らから、世話役の袖を引いて、
「みましたか! みましたか!」
と、目をらんらんと輝かせて尋ねるのだそうです。
この子供はもはや正気ではないとはわかっていました。
しかし当時の解釈では、「これは水番の相反する気持ちが、
息子の魂は滅ぼしても息子の肉体は母のために生かしておいてやりたい、
という願いになり、親子の魂が入れ替わったのだ」というのが支配的でした。
かつて、間引きのために子供を殺したことはありませんでしたが、
この時、村で初めて、この子供を「殺そう」という結論が出たのだそうです。
横糸を斜めに織った長い綿布で首を包んで、布に少しずつ水を吸わせて、
誰も手をかけないうちに殺そうということになりました。
しかしそこは、素人考えですので、首は絞まってもなかなか絶命しません。
水番の子供は父と同じ顔で「誰じゃ、食ったのは誰じゃ」と声を上げ始めました。
それに恐れおののいた村人たちは、水番が死んだのと同じように、
井戸に竹を渡してそこからその子供を吊ることにしました。
もの凄い形相で睨むので、瞼の上から縦に竹串を通しました。
水番の子供は、数日、糞便を垂れ流して暴れたのち、絶命しました。
その明けた年は、飲み水から病気が発生し、多くの人が命を失ったとのことです。
更に1年後経ってから、本当に穀物を食べたのがこの子供ではなく、
世話役の13歳になる息子だったことがわかったのだそうです。
この時、世話役は躊躇なく、我が子を同じ方法で吊るしたのだそうです。
それは明くる年の1月28日のことだそうです。
「というわけで、1月28日は "こっけさん" の日になったんすよ」
「はー、なるほどね。命日なわけな」
と、私の家で夕食を食べてもらいながら、彼に、そう教えてもらいました。
「だから固芥忌(こけき)っていうのが正しいんすよ」
「んー、運動会の行事も、意味わかると、酷いね」
「全く酷いっすよね。村人全員で子供をシめる儀礼ですからね。
イギリスのメイポールの祭り、知ってるでしょ?
中央の柱にグルグル回って可愛いリボンを巻き付けていくやつ。
柱を子供に見立てて、本来こういう形でやさしく弔ってあげたのに、
という意味合いで。何だか偽善ですよね」
「ああ、そうだね」
「あとですね、これ、俺1人で気づいたんですけど....」
彼はチラシの裏にペンで「芥」の字を書きました。
「おお、28やん。実は俺も今気づいてたんだ」
くさかんむりと、その下の八の字で、二十八と読めます。
「え?」
彼はきょとんとしていました。
「いやだから、二十と八で、その命日を表してるんでしょう?」
「うわー、ほんとだぁ」
「あれ、違うの?」
「いや、先輩の方が正しいんですよね、たぶん....」
「何だよ、教えてよ」
「いや、いいっす!」
と、しばらく押し問答した末、彼は折れて、文字を書き足しました。
「これね、縦書きなんですよ」
固
芥
「目を潰された子供が、竹の枠に首から下がってるの、わかるでしょ?」
プロフィール
HN:
ポテチ/ラダ
年齢:
50
性別:
男性
誕生日:
1974/04/11
職業:
会社員
趣味:
単館系映画鑑賞、音楽や絵画鑑賞、そして絵を描くことと...
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