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ポテチの水彩絵の世界にようこそ! 気分でコメントや画像とか、恐いのや面白い毒ある話とか、 現実の花の色と違ったりとか、妙な感じです。
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http://blog.cnobi.jp/v1/blog/user/7170818ba3679a9c8a30a9deff30364e/1375975894

これは友人Hが自殺をした時の話です。
彼は俺と高校時代からの仲で、とても良い奴だった。
明朗活発で彼の面白い話や話し方がとてもセンスがあり、優しい。
大柄な体格で一見厳つい印象でか、女子には人気が無かったものの、
男子には絶大なる人気を持ってる奴だった。

それから高校卒業後、俺は東京の大学に行き、
彼は地元の大学へ通ったため別々になり、
連絡もあまり取らなくなってしまった。

そして大学卒業後、俺は東京で就職をしたが、
彼は引き篭もりになったという。
彼が一切笑わなくなっていたことを、
彼の葬式の時に、彼の父親に聞いて俺と友人たちは驚いた。
大学で何かあったのか聞くと、
3年生になってから徐々に引き篭もり始めたとのことだった。

葬式には彼の大学時代の友人も来ていたので、
俺や友人たちは彼らに色々尋ねてみたのだが、彼らもわからなかった。
ただ、3年生の夏休みを明けた9月から、彼らをも避ける様になったという。

俺は色々と情報を集めていると、彼が大学の2年生の2月頃に両親が別居をし、
彼の母親が家を買い、彼と2人だけで住むことになったらしい。
ただ、これが原因とも思えなかった。
彼の両親の不仲は彼が高校時代から嘆いていたし、
本人が「早く離婚して、母は出て行ってほしい」とさえ言っていたのだから。

http://blog.cnobi.jp/v1/blog/user/7170818ba3679a9c8a30a9deff30364e/1375975952

それから3年が経ち、東京で社会人となった俺にある日、
故郷に住む高校の時の友人Sから電話があった。
「あのさ、すっごい変なこと言うけど、信じてほしいんだ」と、
おちゃらけた印象のあるSがかなり神妙な感じで話を切り出した。
S  「実は、Hから着信があったんだ……」
冗談にも程があるぞ。彼が死んでもう既に3年たってるんだ。
俺  「おいS、お前、馬鹿にすんなよ」流石に怒って言う。
しかしS曰く、「わかる、そうなんだけど……
もう3年経ってるから携帯は解約してるはずだよね?」と涙声。
S  「昨日、久しぶりにG(同じ高校の同級生の友人)と会って飲みに行ったんだ。
そしたら、23時ごろに携帯が鳴ったから、
表示みてみたらHMから着信って……」
Sは彼の携帯番号を残しておこうと思い、
その電話帳から削除していなかったらしい。
勿論、俺も残してた。
ただ、それでも信じられなかった。
俺  「お前掛け直してみたか?」
S  「ああ。2回掛け直したけど、不思議なことに2回とも繋がった……」
この時はかなり背筋がゾッとした。
俺  「え、マジで??  繋がったってことは誰か出たってことか?」
S  「わからない、わからないんだよ……」と、Sは再び泣きはじめた。
俺は何が起きたか分からなかったため、「何? どうした? おい?」と、
彼を呼びかけることしかできなかった。
S  「お前が信じてくれるかわからないけど、
Gも次に電話してみたから知ってるよ。
お前も確認してくれたら分かるけど……」と話を続けない。
俺  「だからさ、その電話で何があったんだよ?  何があったのか言えよ!!」
S  「わかったからさ、そんなに怒鳴るなよ……」
俺  「……悪かった。だから教えてほしいんだ」
S  「……わかった。それは」

その後、「お前もHの携帯に電話してみてくれよ。嘘かどうかは直ぐ分かる」と、
Sはそれだけ言って電話を切った。
聞かなきゃ良かった。
俺は怖くて電話はできなかった。

http://blog.cnobi.jp/v1/blog/user/7170818ba3679a9c8a30a9deff30364e/1375975999

何故聞かなきゃ良かったかというと、その夜、俺の携帯にもかかってきたから。
着信はHの携帯から。

Hは3年前に自殺してる。
棺の中でのお別れもした。
彼の母親が泣き狂いながら、
「H、起きなさい! まだ、間に合うから!」と叫んでたのを思い出した。
その時にふと思った。
もしかしたらこれは彼の母親が、子供が死んだことが悲しくて
受け止められずにやってることなのでは? と。

2回目の着信が鳴った時に俺は思い切って出てみた。
「もしもし? もしかしてHのお母さんですか?」
となるべく冷静に聞いてみると、
電話口から「ちがうよ」とH、彼の声で言われて切られた。
ぞくっとした。
低い男の声で、しかも彼の声で返事があったから。
意味がさっぱり分からなかった。
Hは死んだはずじゃなかったのか。
じゃあ、今のは誰だ? 何で俺らの電話番号を知ってるのか?
何故、彼の携帯からの着信履歴が残ってるのか。
30分近く震えながら考えたが、答えは出てこない。
こっちから電話をしたいが、Sの話が忘れられず躊躇してしまう。
ただ、このままだと埒があかない。
結局、俺は電話をすることに。
手は振るえ、鼓動が激しく息苦しい。
部屋中の電気をつけて、襖やドア、部屋のカーテンを閉め、
着信履歴から彼の携帯に電話をしてみた。

やっぱりするべきじゃなかった。

http://blog.cnobi.jp/v1/blog/user/7170818ba3679a9c8a30a9deff30364e/1375976035

受話器から聞こえるコールの音。1回、2回、3回……
心臓がバクバクする。5回、6回、7回、すると留守番電話に切り替わったその瞬間。
「今から死にます」と彼の声が流れ始めた。
「今から死にます。俺の人生を汚しやがって。全部の音を残しておくよ。
 お前を呪ってやるから。呪ってやるからなあああああああ。ガああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」

直ぐに電話を切って放り投げた。
Sの言ったことは本当だった。
S  「電話したら、Hの声で……死ぬ前に取ったっぽいのが、
留守電のボイスに入ってた」

すぐにSに電話した。
夜中だったがよけいに怖くて、怖すぎて、他人の迷惑とかに気が回らなかった。
彼は寝てたらしいが、Hの携帯から俺にも着信があったこと、誰かが出たこと、
そして電話したら同じ様に声が流れたことを無我夢中で説明したら、S曰く、
「まあ、落ち着けよ」とポツリと言い、
その後は俺が冷静になるまで付き合ってくれた。
しかし、恐怖は未だ続いた。

http://blog.cnobi.jp/v1/blog/user/7170818ba3679a9c8a30a9deff30364e/1375976103

俺  「なぁ、Sよ。お前はどういうことだと思う?
俺は最初、Hの母親があ プッ やしいとおもってたんだけ プッ ど、
どうも プッ ……やばい。キャッチが入った」
しかし、俺は怖くて誰からか見れない。
S  「おい、Q(俺)。無視しろ。俺と話しとけ」
と彼が言うので、そのまま話を続けることに。
ああ、携帯を持った手から汗が吹き出てくる。
なんだか、この耳下にある携帯が凄く異質なモノに感じて、今すぐ投げ出したい。

プッ プッ とキャッチホンを知らせる音はしばらく続いていたが、
数秒後に音が止んだ。
直ぐに携帯を自分から離したかった俺は、Sに断りをいれ、
電話を切り投げて部屋のテレビをつけ、バラエティー番組を見続けていた。

結局、眠れずに朝まで起きてた俺は、会社に行く気になれなかったので、
上司に電話しようと携帯を取ると着信履歴14件。
全てHの携帯から。
最後の一件には留守電が入っていた。
朝になって明るくなったためか、
少し強気になってきていた俺はそれを聞いてみることに。
「お前じゃないかあ。お前かあ?
ははははははははははははははははははははははははは……」
一気に寒気が来た。
この笑い方が彼の笑い方にそっくりだったから……

直ぐに俺は故郷に住むSに連絡し、Hの家に行って欲しいというと、
他の友人とG(高校の同級生の友人)ともう一人の友人も一緒に行って
確認してくれるとのことだったので、お願いをして連絡を待った。
そして、夕方の4時ごろに俺の携帯が鳴った。

http://blog.cnobi.jp/v1/blog/user/7170818ba3679a9c8a30a9deff30364e/1375976146

Sの話をまとめると、
昼過ぎにSとGとM(高校のSの部活の後輩)は
Hが元々住んでいた家を訪ねるも、誰もでない。
そこでMがHの大学時代の友人と知り合いだったということで、連絡を取り、
彼が別居して住んでいた母親の家の住所(同じく地元)を聞きだせたので、
さっそく向かうことに。
しかし、母親の家の住所にあるのは、
蔦がグルグル巻きになった二階建ての家。
中古住宅とはいえ、買ってまだ10年も経って無いはずだが、
ガラスが割れている窓があったりと手入れが全くされていないせいか、
まるで廃屋の様。
人が住んでる様子には見えなかったらしい。

Sが何度かチャイムを押すも、音は出てない様子だったので、
玄関を何度か叩き、高校時代の呼び方で、
「Hのおばちゃーん、俺、友だちのSですー。居ませんかー?」
と呼びかけるも出てこない。
ダメかと思い、帰ろうとした瞬間にSの携帯が鳴った。
着信はHから。
かなり恐怖を感じたらしく逃げようとした瞬間、
一階の割れている窓から目が見えた。
こちらをじっと視ている様だ。
SとGはその視線の怖さから逃げようとするも、
足がすくんで動けなかったらしい。
しかし、霊などに全く恐怖を感じないというM(頼もしい)は動じず、
「居るなら出てきてください。警察よびますよ。これは犯罪ですよ」
と言うと、視ていた人らしきモノが奥に引っ込んだ。
すると、Sの携帯に再度電話が鳴った。
ここでMは、Sにしか電話して来ないのは、
窓にいたモノがSの呼びかけで彼の名前しか確認できなかったのではないかと思い、
玄関のドアを開けて(鍵は開いてたらしい)
「おい! いい加減に出て来い! H先輩に対しても侮辱になるだろうがっ!!」
と叫んだらしい。
すると、奥から携帯を持ったHが出てきた。
流石にMも驚いたとのこと。

http://blog.cnobi.jp/v1/blog/user/7170818ba3679a9c8a30a9deff30364e/1375976185

彼は狂った様に「お前らが大事なHを殺したんだっ!!」と叫んで殴りかかるも、
Gが直ぐに取り押さえると、縋る様に抱きつき、泣きはじめた。
しばらくすると、憑き物が取れたかの様に落ち着いた彼は、
『自分はHの弟です」と言った。
なるほど、彼によく似ている。

彼の弟に話を聞いたところ、
あれからHの母親は彼が死んだことを受け入れられず、
携帯は解約しないでお金を払い続けていたらしい。
Hは自殺する際、遺書の代わりにmp3レコーダーに声を残しており、
それを母親が見つけ、何回も繰り返し聞いていたとのこと。
それまではちょくちょく、母の様子伺いでこの家に訪ねていたが、
何も食べず、仕事にもいかずに、
ただ兄の声を繰り返し聞く母の姿に何故か惹かれ、
学校から真っ先にきては、門限までここで傍観する毎日だったという。
そして一週間前、完全に気が狂ってしまったのか、いつもの様に来てみると、
兄が死んだ部屋で同じ様に自殺している母の姿が。
その足下には遺書があり、
”Hは誰かを恨んで死んでいった。それを見つけれなかったのが悔しい"
と書かれていたのを見て、
何故か、自分が母の代わりにみつけなくてはと、mp3からその音源をとり、
携帯の留守電のヴォイスに変え、全員に電話をかけるつもりだったとのこと。
その後、俺たちはHと仲が良い友だち同士だったし、
決して彼を陥れる様なことはいていない。
むしろ、連絡が途絶え、疎遠になっても気になっていたし、
彼が亡くなって本当に悲しいと弟に伝え、和解して帰宅したとのこと。

その夜、俺はSと電話で話した。
俺  「なぁ、Sよ。お前はどう思う?
俺はHの留守電聞いた時は、かなりヤバい感じだったから、
ただ怖いの一点張りだったけど。
よくよく考えてみると、なんか俺たちに向けたモノじゃないように思えるんだが」
S  「ああ、俺も思ったよ。
それにしてもHの母ちゃんの彼に対する執着ってなんだかさ、異常だよな」
俺  「そういえば、
高校の時に離婚して母親に出てってほしいみたいなこといってたけど、
結局一緒に住んでたんだよな……って、あっ」
S  「うん? どうした?」
俺  「……いや、取りあえず、解決したからもうよそう。
なぁ、俺、来月そっちに帰るからさ、みんなでHの墓参りしようよ。
その後ぱあ〜っと朝までやってさ、奴の話で盛り上がるってのはどうだろ。
Hの弟も誘ってさ」
S  「いいね〜、やろう! 彼にとっても良い弔いにもなるしな! って、そうだ。
話は戻るけどさ……」
俺  「……なんだよ。もう解決したじゃん」
S  「ああ、そんなんだが、気になることがあってさ。
Gたちとあの家に行った時に割れた窓から覗く目の話をしただろ?
でもHの弟は俺たちが家に入るまで二階にいたって……」


Stephen James:
by Fernando Gómez | Devil Inside/Joseph Sinclair | Bedtime Stories
http://homotography.blogspot.jp/

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プロフィール
HN:
ポテチ/ラダ
年齢:
50
性別:
男性
誕生日:
1974/04/11
職業:
会社員
趣味:
単館系映画鑑賞、音楽や絵画鑑賞、そして絵を描くことと...
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