ポテチの水彩絵の世界にようこそ!
気分でコメントや画像とか、恐いのや面白い毒ある話とか、
現実の花の色と違ったりとか、妙な感じです。
冬のある日、小雪がぱらつく夜のこと。
思いの外、残業が長くなり、家路を急いでいた私は、
ふと、田んぼのあぜ道で何かを探している人に気付いた。
「どうしました?」
私は問いかけると、突然声をかけられたからか、
その初老の男性は一瞬驚いた顔をした後、
消え入りそうな声でこう言った。
「息子に買ってきたクマのヌイグルミが見つからないんです」
「そうですか。私も一緒に探しましょう」
2人で泥だらけになりながらも雨の中、必死で探すものの、
どんなに注意深く探しても全然見つからない。
「無いですねぇ」
と言った彼の横顔を何気なく見た私は、
何だか不思議な感覚を覚えることに。
....あれ? この人、どっかで見た様な気がする。
でも、そんな気にも留めず、私は田んぼの中辺りを探しはじめてみた。
「無いなぁ.... 困ったなぁ....」
そう言う彼を私は慰め、
再びあぜ道の辺りを見回してみようとほんの少し下を向いた時に、
彼の気配が無くなった。
「あら?」
周りをいくら見渡しても彼の姿は見えません。
「おっかしいなぁ。まぁ、いいか」と不思議と怖さも無く、
そのまま私は泥だらけの姿で家に帰りました。
泥だらけの私の姿を見た母から
「あらやだ。どうしたの?」と尋ねられたので、
先程の田んぼのあぜ道であったことを話すことに。
すると、みるみる変わっていく母の顔色。
「あらあら。ちょっと母さん、どうしたのよ?」
そう言う私を背に、意を決した母が2階に駆け上がってしまうと、
すぐに古いアルバムと古いヌイグルミを持って下りて来た。
「その男の人って....もしかしてこの人かしら?」
私はアルバムの開いたページを見ると、先程の彼が写っていた。
生まれたばかりの私を危なっかしそうに抱いて。
「ああ、この人よ」
私は言葉を失いました。
母は私が物心のつかない幼かった頃の父の話をしてくれました。
クマのヌイグルミを買って帰る途中で車にはねられた事故のことも。
だから彼を見た時、不思議な懐かしさを覚えたのか。
「お父さん、まだ私たちのこと、忘れてくれてなかったのね」
私は眩い光で朦朧となりつつ、
母が号泣するのを最後まで眺め続けた。
懐かしさと侘しさで胸に迫り来る
"Sarolta Bán" フォトグラフィーの世界
http://www.saroltaban.com/
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プロフィール
HN:
ポテチ/ラダ
年齢:
50
性別:
男性
誕生日:
1974/04/11
職業:
会社員
趣味:
単館系映画鑑賞、音楽や絵画鑑賞、そして絵を描くことと...
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