忍者ブログ
ポテチの水彩絵の世界にようこそ! 気分でコメントや画像とか、恐いのや面白い毒ある話とか、 現実の花の色と違ったりとか、妙な感じです。
[585]  [584]  [583]  [582]  [581]  [580]  [579]  [578]  [577]  [576]  [575
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

http://blog.cnobi.jp/v1/blog/user/7170818ba3679a9c8a30a9deff30364e/1331295371

最初の男が退場させられると、円卓を囲んでいた彼の椅子もすぐさま片付けられ、
4人になった僕たちの頭上からまた放送の声が流れる。
『会話を再開して下さい』
「......いつまでこんなことやらせんだよ!?」
最年長と見える髭面の男が叫んだ。
『予定では最後の1人になるまで続けさせていただくつもりです。では、はじめ!』

しばしの沈黙の後、僕の隣の眼鏡を掛けた男が言った。「めちゃくちゃだ」
「誰だってそう思ってますよ」
僕は頷いた。
「世の中何が起こるか解らないって言うけど、こんな....」
若い神経質そうな女が爪を噛みながら呟く。
「何も、俺たちじゃなくたって良いだろう!?」
また髭面が叫んだ。
「うるさいな!」眼鏡が怒鳴る。「みんなそう思ってんだよ!」
「よ、よして下さい!」
女が立ち上がり、必死に取り繕った笑顔で取りなした。
「いつまでもこんなことやってられっかよ!!」
眼鏡は頭をかきむしった。
髭面が僕の方を睨み付ける。
「よぉ兄ちゃん、ずいぶん静かじゃねえか」
「彼は」眼鏡も冷ややかな視線を僕に向けてくる。
「なるべく余計なことを言わないようにして、私たちが脱落するのを待ってるんです」
釈明しようとしたが、何を言っても火に油を注ぐだけの気がした。
「....すいません」
そう言った僕が気づいたのは頭を下げた後だった。
血の気が引いていくのが解った。
最初の時と同じブザーが部屋に鳴り響く。
「い、いや! 今のは....」
僕はスピーカーに向かって叫んだ。
引きずられながら僕が最後に見たのは、
他の3人の同情と安堵の入り交じった笑みだった。
最初の彼を見送りながら、自分もあんな顔をしていたのかなと僕は思った。

『はい、会話を再開して下さい』


PR
Comment
name 
title 
color 
mail 
URL
comment 
pass    Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
コメントの修正にはpasswordが必要です。任意の英数字を入力して下さい。


プロフィール
HN:
ポテチ/ラダ
年齢:
50
性別:
男性
誕生日:
1974/04/11
職業:
会社員
趣味:
単館系映画鑑賞、音楽や絵画鑑賞、そして絵を描くことと...
カレンダー
04 2024/05 06
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31
カウンター
ブログ内検索
アクセス解析
忍者アド
忍者AD-MAX
フリーエリア
Template by Crow's nest 忍者ブログ [PR]