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ポテチの水彩絵の世界にようこそ! 気分でコメントや画像とか、恐いのや面白い毒ある話とか、 現実の花の色と違ったりとか、妙な感じです。
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お世辞にも社交的であるとは言えない俺は、
昔から人の輪に溶け込めなかった。
「あいつ変わってる。ドジ。暗い」
被害妄想かもしれないが、
常にそういう言葉が人の背中から聞こえてくる様で
他の奴がにぎやかにしてるのが怖かった。

4年前だったかな、そんな俺がひょんなことから興味を持ったのが、
大学主催のイギリスへの短期留学だった。
「海外に出てみればカルチャーショックで、
もっと大きな人間に生まれ変われるかもしれない」
俺は自分を変えるのにやけっぱちな思いで親に土下座し、
100万からの金を借り、イギリスへと立った。

ところが現地に行っても、俺は一緒に行った日本人にすら溶け込めず、
独りでパブに入り浸り、黙々と酒を飲んでいた。
周りの奴らはカナダやスペインの留学生と仲間になり、
ワイワイやっている中、俺は輪に入ろうともせず、ただただ
バーで独り酒を飲み、高いタバコを吸っていた。
別に意味はないのだが、ただただ周りの奴が怖かった。
小学校のころに騙されて金を取られたことが何度もある俺は
人をやすやすと人を信頼しなかった。
「こいつは俺をいつか裏切る。こいつに合わせても痛い目を見るだけだ」
そんな目ばかりで人を見ていた。

http://blog.cnobi.jp/v1/blog/user/7170818ba3679a9c8a30a9deff30364e/1292770748

そんな留学も、2週間が過ぎた。
俺は独りで食う飯にあきていたが、ほとんど習慣になっていたので、
あいかわらず誰も誘わず、独りでいつもの食堂に昼飯を食いに行った。
でも、今日の食堂は少し違った。
服にドロのついたみすぼらしい一団が下劣にでかい声で笑っていた。
どうやらチャイニーズなんたらとか言っていた。
俺をバカにして笑ってるのか。
そう思って、腹は立つものの、相手はムキムキの外人。
勝てるはずはないので、
まずい飯の途中でタバコだけ吸って出て行こうとした。
タバコを持ち、マッチを右手に持って、
いつもの様に一服しようとする俺。
どうやら昨日の夜に酒をこぼしてしまったらしく、
マッチに火がつかなかった。
くわえタバコでついてないな、という顔をしながら席を立とうとした。

すると、この一団のボス格、一番笑いがデカくて、
ペンキだらけの靴を履いたガタイの良いマッチョの男が
「ライター持ってねえの?」と言ってきた。
困ってた俺がうなずくとパっと火をつけてくれた。
驚いた俺がまじまじと顔を見るとそいつはニッコリ笑った。
どうやら俺のことが気に入ったらしかった
刺青だらけの腕。ランニングシャツ。泥まみれのブーツとジーパン。
そいつは現地の土木関係の下っ端グループのボスだった。
俺が日本人であることを言うと、男はますます気に入ったらしく、
仲間に俺のことを紹介し始めた。
それ以来、食事や酒は男と一緒にいる見窄らしいが気の良い連中と
一緒に食う様になり、俺は独りで寂しく酒を飲むことがなくなった。
イギリスで初めてできた「友達」だった。

http://blog.cnobi.jp/v1/blog/user/7170818ba3679a9c8a30a9deff30364e/1292771544

それ以来、酒を飲みに行くのが楽しくなった。
俺が飲みに行くたび、その男たちは酒をタダで飲ませてくれた。
俺が財布をあけようとすると、
「お前は若い学生だ。稼ぐ様になってから下におごってやんな」と言って。
かまいもせず俺の分の金を払い、酒を注文した。
俺は俺の前にある強い酒を消化しないとならず、手一杯だった。
そんな男は火の様に熱く、激しい飲みっぷりだった。

彼らには助けられっぱなしだった。
俺が現地の毛むくじゃらな厳ついホモ男に襲われそうになって
命からがら逃げてくると、
男は激怒し、近くのバーの周りに一晩中見張りを置いて、
そのホモ男を捕まえようとした。
俺が仲間に溶け込めないで困っているのを察して
「お前の仲間にこのタバコをやれ」と現地の巻きタバコをくれた。
英語がいまいち上手くない俺にスラングをたくさん教えてくれた。

俺が「なんでこんなに優しいのか?」と質問すると、
決まってそいつは答えた。
「それは俺がイギリス人だからだ」
そこに細かい理論はなかった。
「友情」を大事にするイギリス人の「誇り」だけがそこにあった。

http://blog.cnobi.jp/v1/blog/user/7170818ba3679a9c8a30a9deff30364e/1292770788

俺が留学過程を終えた時、男に卒業証書を渡すと
その証書を掲げ挙げて喜んだ。
そして、男しか乗れないクレーンに俺を乗せてくれ、
1番高いところに連れて行ってくれた。

帰ってきてから何度かは文通したが、
常にいろいろな土地を渡り歩いているだけあってか、
なかなか手紙を出す機会もない様で、1通も返事は届かなかった。


http://blog.cnobi.jp/v1/blog/user/7170818ba3679a9c8a30a9deff30364e/1292770859

4年たった今頃もきっとイギリスのどこかで相変わらず、
汚いペンキだらけの半ズボンでバーに入り浸り、
黒ビールを飲んでいることだろう。
もう会えないのかな。
そうと思うと寂しいが、きっと俺は生きていける。
心が通いあった事実だけは本物だから。

Thank you Tony:
Bitch No I Love You Forever


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プロフィール
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ポテチ/ラダ
年齢:
50
性別:
男性
誕生日:
1974/04/11
職業:
会社員
趣味:
単館系映画鑑賞、音楽や絵画鑑賞、そして絵を描くことと...
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