ポテチの水彩絵の世界にようこそ!
気分でコメントや画像とか、恐いのや面白い毒ある話とか、
現実の花の色と違ったりとか、妙な感じです。
彼女は、職場の同僚である彼を愛していた。
彼女の容姿はお世辞にも美しいとは言えず、同僚は皆彼女の容姿を馬鹿にしていた。
彼は美貌と才能に溢れていたが、
他の同僚の様に彼女を馬鹿にしたりなどせず、とても優しかった。
その優しさに、自分が釣り合うはずがないと嘆きつつも、
彼を想う気持ちを止められない。
彼女は彼に愛されたい一心で、美しくなる為の努力に全てを費やした。
その甲斐あってか、彼女は誰もが羨む程美しくなった。
今まで彼女の容姿を馬鹿にしていた同僚たちも、
女は羨望の、男は憧れのまなざしで彼女をみる様になった。
そして彼女はついに彼に告白をし、彼もまた彼女を愛していると熱く告げた。
翌日、彼女は会社の屋上から飛び降りてこの世を去った。
屋上に遺された遺書にはたった一言、
『帰りたい』と書かれていた。
ある真夜中。
彼はなんとなく隣にいる妻の手を握っている。
冷たいな、などと思いながら細い指先を軽く揉んでいると、
突然、動くことのなかった彼女がむくりと起き上がり、
彼に縋りつくと泣きながら言った。
「あなた、助けて。オリオン座から電波が飛んできて私を殺そうとするの」
あまりのことに一瞬、彼は驚き言葉を失った。
しかし、即座に何が起こったか理解した。
妻は狂ってしまったのである。
社会生活を送るストレス、生活への不安。
そうしたもののせいで、精神を壊してしまったのだ。
この世にありえない幻覚を見ているのである。
泣きじゃくる妻をなだめながらも、彼は冷静だった。
とにかく、今必要なものは、治療だ。
病院である。
これは異常事態であり、こういう状態を放置していいはずがない。
翌朝。
彼は解雇を言い渡されていたので、仕事にいく必要はなかった。
彼は彼女を抱き上げ、衣装を取替え、部屋の座椅子に座らせると、
電話で精神科の予約をとった。
ある真夜中。
彼は窓際の机で、勉強をしていた。
真夏の割に夜気が快かったので窓を開けていた。
すると通行人が窓から、
「すみません。今何時ですか?
終電に間に合わなかったらタクシーにしようかと思って」と聞いてきた。
夜中だし、突然でびっくりしたので、つい彼は「わかりません」と答えてしまった。
通行人は「そうですか、失礼しました」と去った。
彼は再び勉強に戻った。
「普通携帯ぐらい持ってるだろ。携帯で時間みろよ」と思った。
しばらくしてから、
「夜だし、酒でも飲んるうちに、携帯無くしちゃったのかもな。
ああ、時間を教えてあげればよかった」と、
彼は自分の不親切ぶりにちょっと後味の悪さを覚えることに。
そして、よく考えてみたら彼が勉強していたのは5階だった。
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プロフィール
HN:
ポテチ/ラダ
年齢:
50
性別:
男性
誕生日:
1974/04/11
職業:
会社員
趣味:
単館系映画鑑賞、音楽や絵画鑑賞、そして絵を描くことと...
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