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ポテチの水彩絵の世界にようこそ! 気分でコメントや画像とか、恐いのや面白い毒ある話とか、 現実の花の色と違ったりとか、妙な感じです。
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自分の身に起こった今でも信じられない実話です。
まだ僕が中学3年だった頃、父と母とまだ小学校低学年の弟の4人家族でした。
次の進学する高校は早々に決まり、
受験勉強をしなくてもよくなった僕はのんびりしてました。

その年の大晦日、NHK紅白歌合戦を見終わって、
ゆく年くる年のいろいろな地域の神社や寺の中継を見つつ、
「もうすぐ新年か〜、明けたら初夢でも見るかな……」
と寝たのはよかったのですが、
真夜中に頭を思いっきり殴られる悪夢をみて、突然真夜中に起きました。
誰にやられたとかの具体的な経緯や内容はさっぱり覚えてないのですが、
心臓は音が聞こえるほど、激しく脈打っていて、
脂汗を全身にじんわりかき、まるで冷や水を背中から流されたかの様に、
布団からがばっと起きた体勢のまま、僕は硬直してました。
「新年早々に悪夢かよ……最悪だな」
と思いながら、カラカラに渇いた喉を潤すために、
冷蔵庫のあるリビングに行くことに。
すると、もうかなりな真夜中なはずのに、
父と母と弟が抱き合った格好でテレビの前に座っていました。
テレビは付けっぱなしで、ニュース番組らしき画面が映っていました。
しかも無声で……
それに窓という窓が全部開けっ放しになっていて、
外と変わらないほど寒いんです。
明らかに様子が変でした。ぞっとする寒気を感じました。

「ちょっと、こんな夜中に何やってんの!」
あまりの尋常でない雰囲気に僕は少し震えながら、半ばキレた様に怒鳴ると、
「あ、兄ちゃん。だって…ぁ…(声が小さくて聞き取れない)」
と弟は言うと泣き出してしまい、
それを見た両親は、終始無言のまま無表情で窓を全部閉め、テレビを消し、
うずくまって泣いている弟を寝室に連れて行きました。
新年早々、気味が悪すぎる出来事に遭遇しまくったせいか、
全く寝る気が起きないので、
その日は自分の部屋で、漫画を読みながら朝を迎えました。

 

朝になって、両親に「ちょっと、真夜中に......何やってたの?」と聞くと、
母 「はぁ?? 何いってるのよ。それより、新年のご挨拶が先でしょ」
父 「お前、新年早々、寝ぼけてんのか?」といつもと同じ感じな返答。
昨夜の奇怪な印象とのギャップで僕はかなりパニクりました。
まあ、そんな話を友だちにしても疑われるだけだし、
付き合っていた元家庭教師だった彼女があまりにもな感じに我慢できなくて、
12月に振ってしまったのもあって、
きっと精神的な疲れから幻覚を見たんだろう……と落ち着かせました。

それからしばらくして、また真夜中に悪夢で目が覚めました。
今度は、微妙に内容を覚えていて、見知らぬ人に後頭部を殴られる夢です。
なぜか起きてもジンジンとつむじ辺りが痛いんです。
そして、なぜか「コンビニなら安全」などと意味不明なことを考えてました。
僕の頭の中は「家族を装った化け物の類いか何かに遭遇したもの」
という考えが支配してて、パニクってリビングに逃げたのですが、
誰もいないし、焼肉のせいか、焦げた肉の臭いが今だ浮遊してて、
しかも新年早々にあった奇怪な出来事を思い出し、
またもや眠れぬ夜を過ごしました。

それから、2月の上旬になると、体が異常に痒くなってきました。
最初は単なる乾燥肌と思ってましたが、
背中と頭が特に焼ける様な感覚が常となり、
ボリボリと掻きむしっていました。
一向に良くならず、近所の皮膚科に行って塗り薬をもらい、
風呂上りに薬を塗ろうとすると、
弟が「塗らせて〜」と懇願するので背中を突き出してやると、
何を思ったのか、バチーン! と背中に張り手を食らわしたので、
痛さのあまり「痛い! ふざけんなー」と怒りを露にしました。
必ず僕の怒鳴り声に反応して泣く弟。
今も弟は見る見るうちに目に涙をためて、
「あぁ、こいつ、大声で泣くぞ泣くぞ」
と思ってると、案の定、涙をポロポロ流しました。
しかし妙なことに、いつもは真っ赤になる弟の顔は色味を失った様に青ざめ、
ついには無表情でさめざめと涙だけを流すだけといった感じでした。
「な、なんだよ…… いつもみたいにギャーとか、ピーとか泣かないのかよ……」
何かが違う雰囲気にただ気持ち悪くて、振り返ると両親がいました。
声をかけようとすると、両親も無表情で涙を流してます。
もう完全に放心状態。
よく見ると、口元が微妙に動いて何かを言っているのですが、分かりません。
その瞬間、自分の居る景色が真っ赤になりました。
赤にとけ込んで見えなくなる父と母、そして弟。
徐々に色あせてセピア色になって意識が……なくなる……と思ったら、
またいきなり景色が一変してました。



……どっかで見覚えある様な……と思ったら従兄弟の家でした。
深刻そうに、父の弟である叔父が俺の顔を覗いています。
「あれ…… 何でここに居るんだろう??」全然事態が飲み込めません。
そのうち、ぞろぞろと僕を囲む様に人が集まってきました。
最初は「今までのは全部夢だったのか??」と推測してましたが、
叔父の家にいる経緯が全く分からないし、何故か、祖父母もいるし、
僕の身体にはあちこち包帯が巻かれ、完全にパニック。

「気がついたのか。ふう。良かった。
 戻ってこないんじゃないかとヒヤヒヤしたぞ」
叔父が少し微笑んでいます。
「記憶がないならないほうがいいんじゃないか」と祖父が言っています。
「こいつには何があったのか、話しておかんとならんでしょう。
 まだ犯人も捕まってないし、1週間後にまた警察の人が来るだろうから……」
それから、叔父から全貌を聞いた。

僕の家族は1月1日に何者かの放火にあって全焼した様です。
僕はたまたまコンビニに行っていたので、助かったのですが、
家のすぐ近くで犯人と思われる人を見たために、後頭部を殴られ、
全身をバットかなんかでめった打ちにされて、記憶を失ってしまった様です。
搬送先の病院でずっと生死を彷徨った後、
回復してから叔父の家に引き取られたとのこと。
そして今は桃の花がほころぶ3月。
2ヶ月も記憶を失ったまま、リハビリを続け、たった今、
記憶が戻ったとのことでした。

僕は号泣しました。
いっぺんに大切なものを失ったのを、2ヶ月も過ぎてから分かったのですから。
ただただ泣きじゃくる僕の顔を、祖父母と叔父が見つめていました。
叔父は黙って目を反らしていましたが、
祖父母たちももらい泣きして、わんわん泣き続けていました。
改めて見直すと、僕の体中には青あざが無数にあり、
包帯がミイラの如く巻いてあり、
節々が曲げるたびに痛みが走りました。
何故か、真冬の真夜中に全部の窓が開いてあったこと。
ガソリン臭いリビング。無表情で固まりあう家族。元彼女に殴られる悪夢。
突然真っ赤になった景色……
まるでジグソーパズルの様に謎がピシピシとはまっていきました。

結局、元彼女はいまだに捕まっていません。
たぶん、どこかでひっそりと死んでいる様な気がします。
そして、背中の包帯を取った時に僕の青あざが残る背中には、
弟の手のひら状に無傷だった跡がありました。
事件から5年経ち、あざが消えるのと共に、
その手のひらの跡も消えてしまいした。



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プロフィール
HN:
ポテチ/ラダ
年齢:
50
性別:
男性
誕生日:
1974/04/11
職業:
会社員
趣味:
単館系映画鑑賞、音楽や絵画鑑賞、そして絵を描くことと...
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