面白い本棚の画像と後味の悪い話 89

昔から霊感の強かった叔母は、その日も不快なモノに出会ったという。
農道を歩いていると、
前から自転車を一生懸命こいでるお婆さんが目に入った。
坂道でもない平坦な道なのに、
彼女は汗をかきながら苦しそうに自転車をこいでいる様子。
「はて？」
そう思った叔母が遠目ながらその自転車のカゴを見ると、
なんと生首が乗っかっているではないか。
眼球が無くぽっかり空いた空洞が彼女を睨んでいた。
「あらま。あれはとんでもなく悪い霊だわ、あの人に教えてあげなくては。
でも、まともに話を聞いてもらえるかしら」
と、叔母は彼女に話しかけようか迷って躊躇するものの、
やはりこのままでは良くないと伝える決意をした。

そして、いよいよ、お婆さんとすれ違う時。
「あの....」
と叔母が言いかけたその瞬間、彼女がポツリと言った。

「知ってます」




仕事の同僚が無断欠勤して4日たった。
真面目な彼が連絡をしないで会社を休むなんてことが今までなかったので、
何かあったのかも？ と、心配した私は深夜になってしまったが、
仕事帰りに彼のマンションの部屋に寄ってみることにした。

彼の部屋は8階。
私はエレベーターに1人で乗っていると、
何階かで6人の幼い子供たちがどやどやと乗ってきた。
すると定員オーバーのブザーが鳴った。
「あ、みんなでのると、ちょうど1人おおいや！」
数の数え方を覚えたらしい1人の子供が定員の表示を見て声をあげた。
「君たち。おじさんは次の階で降りるつもりだったから、
　ここから階段を使うよ。
　だからみんなは乗りなさい」
私はそう言うとエレベーターを降りた。
子供たちは「ありがとう」と口々にいいながら乗りこみ、
立ち去る私の背後で扉が閉まる音がした。




以前、オークションでカーナビを買ったんだ。
自力でマイカーにセットして電源を入れてみた。
すると、前のユーザーなのか、
消し忘れのポイントがメモリセットしてあった。
自宅か、それとも勤め先か？
住所を見る限りそんなに遠くはない、49キロくらいの場所だ。

次の週の金曜日。
いつもより早く18時過ぎに仕事を上がれた俺は少し冒険心が沸いてか、
試しにメモリポイントに行ってみようかな？ と考えた。
会社から自宅に向かう道から国道に出て、
俺はナビの指示に従って走り出した。
40分ほど走ると、こんなところにこんな道があったのか？
という様な人家のない道になった。
いつの間にか雨が降ってきたが、
更にそのまま走ると街路灯のない暗い細い道に出た。
もうすぐ目的地点だとナビが知らせてくれている。
こんな処に家があるのかよ？
俺がそう思った瞬間、背筋に寒気が走り、思わずブレーキを踏んだ。

ふっと溜息をついて車を降りると...
その道は、ちょうど俺が車を止めた30センチ先で谷底になってたんだよ。
既に辺りは暗くなっていたし、
かなりの雨だったので視界が10ｍくらいしかなかったんだ。
道は続いている様に見えたんだけど、確かに路面はほとんど見えていなかった。
ふと道路脇を見ると小さな花瓶に菊の花が添えてあった。

帰宅後、その住所で検索してみると半年前、
そこで車の転落事故があったそうだ。

苦しみがないだけに

T氏は布団を被って寝る習慣のため、目覚めても暗い中にいる。
そのせいか、朝の実感が湧かず、二度寝入りするのは日常茶飯事だった。
そんな習慣で身についたのが、夢の続きをみることだった。

ある朝、彼は目を覚ましたが、
「どうせ退屈な休日だし、夢の続きを見ることにしよう」
と、二度寝入りをしてしまった。

今日の夢は憧れだったオーケストラの指揮者になったリアルな夢だった。
豪華なリムジンで移動し、
まずあちらこちらでインタビューを受けてから会場に向かった。
略歴が紹介され、舞台へ登場していくT氏。
マリンバの前奏から始まる彼作曲の交響曲は始まった。
交響曲が悲しみを表現した部分に差し掛かると、
感極まった観客席から、大勢すすり泣きが聞こえてきた。
バリトンのコーラスも入り、どんどん盛り上がっていく。
自然、指揮にも熱が入るというものだ。
終盤では、夢とは思えないぐらい無中になり、汗だくで指揮を終えた。
舞台袖に戻ると車に乗せられ、次の演奏会場に連れて行かれた。



次の会場はいまいち観客のノリが悪く、彼の略歴紹介も無かった。
だが曲が進むに連れて、
パチパチと観客席から割れんばかりの拍手が起こり、
曲が終わる時には、気分良く舞台袖に戻れた。
本当に汗をたくさんかいたので目覚めようかと思ったが、
観客席からの拍手はさらに大きくなり止みそうにもない。
どうせ目覚めても退屈な病室なのだ。
彼はアンコールに応えるべく、再び舞台上に戻った。
興奮は最高潮に達し、体は更に熱くなり、汗は滝の様に流れ出た。
「たまにはこんな夢も悪くはない」
夢に満足した彼は目覚めることにした。

"Love Rocks" 面白い画像と後味の悪い話 88

大学時代に友人がいきなり、
部屋にある人形が呪われてるって騒ぎだしたんだよね。
彼に詳しく聞くと、ヨーロッパに旅行に行った時に買った
”揺り椅子に座った老人の人形" がとにかく呪われてるって言う。

呪いの人形の話とかよく聞くけど、
実際目にしたことなんてもちろんないから、
実は俺、ちょっとワクワクしちゃってさ。
それにもともとそういう心霊の類はいまいち信じてなかったから、
その人形をもらって本当に呪われてるのか確かめてみようと思ったんだ。

さて、友人からその人形を借りてきて、
箱から出して見やすい様にリビングのテレビの上に置いてみた。
確かに言われてみれば、この人形の顔は妙にリアル、
そういう風に見れば呪いの人形っぽいけど、
でも探せば何処にでもありそうな代物だ。
結局、何事もなく1週間過ぎてしまった。



やっぱり呪いの人形なんてあるわけないって半分安心、半分がっかりしたけど、
念のためにもう1週間様子を見ることに。
そして、最終的に初日から2週間経ったんだけど、結局何にもなかった。

友人はきっと勘違いしてたんだろうってことで、
ついでに茶化してやろうと俺は彼に報告の電話をした。

友 「おお、お前か！ で、例のヤツはどうだった？」
俺 「お前さ、ビビり過ぎだよ～。預かって2週間も経ったけど何もなかったぜ」
友 「マジで？ ..... そんで今その人形は捨てた？」
俺 「いや、流石に勝手には捨てないよ。
　　テレビの上に飾ったんだけどさ、
　　今も初日と同じで、馬鹿みたいに突っ立ったまんまだぜ？」

そしたら友人がそこで突然黙りこんじゃったんだよね。
呪いが信じてもらえなくてそんなにショックだったのかな？




俺が当直だったある夜に、急患で叩き起こされた。
急変とかで、まあよくあることだ。

処置室に行くと、ちょうど患者が救急車で病院に着く時だった。
救急車からストレッチャーで下ろされたのは、真っ黒に焦げた感じ。
救急車のスタッフに聞くと、
この患者は交通事故を起こしたドライバーで引火した車内で取り残されたらしい。
50代位の男性とのこと。

一応、生きてはいるが、そりゃもう表面なんかコゲコゲで
肉の焼ける匂いが辺りに立ち込め、俺はもう吐き出しそうになった。
全然動く気配もない。もう時間の問題だ。
「凄いですよ。心停止してません。まあ、時間の問題でしょうけど」
と救急隊員は言った。
駆けつけた医師曰く、「あー、こりゃすごいね」と言って
もう治療をする気もなさそうだ。
「酷過ぎる....」と若い同僚の看護師も目が怯えていた。

俺は検査をするための準備にかかった。
機器を用意している部屋に入って準備をしていたら、
その黒焦げの患者が運ばれてきた。
俺は腕に検査のために針を刺すので、その患者の血管を探したが、
表面が黒焦げでどこに血管があるか分からなかった。
「あー、これ、メチャクチャでどこだか分かんないよ」と俺は言った。
皮膚のまともなとこを探そうと腕をつかんだ時、
その黒こげ患者が言った。
「....そんなに私、酷いんですか....」

「あ、ああ...」
俺は声にならなかった。ずっと意識はあったんだ。
今までの俺たちの会話を聞いていたんだ。




俺は葬儀関係の仕事でよく亡くなった人の、死体の処理をしていた。
その日は夜までやっていて、帰れる時間は午前0時を回っていた。
冬の雪が積もった寒い日であり、俺はゆっくり家まで車を走らせた。
しかし、様子がおかしい。
車と全くすれ違わないのだ。
それどころか人すら歩いていない。
恐怖というより不思議に思いながら走ると、
目の前から背の高い人が歩いてきた。
その人を見たのは一瞬だったが、確実に先ほど処理をした死体だった。
だがそれを見ても、俺は恐怖というより不思議としか思わなかった。
今思えば恐ろしくてたまらないんだが....

次の日に俺の同期が亡くなった。
雪の降る寒い日、事故にあったらしい。

真岡署益子交番で自殺が相次ぐ話

2007年12月13日午前6時頃、
栃木県益子町益子の真岡署益子交番の2階仮眠室で、
この交番に勤務する同署地域課の巡査（23）が、
腹部から血を流して死亡しているのを、同僚の巡査部長（59）が発見した。

畳の上に拳銃が落ちており、枕元に
「迷惑かけてすいません　拳銃で自殺したことごめんなさい」
というボールペンの走り書きがあった。
巡査は寝たまま撃ったとみられ、
弾丸はへその脇から体を貫通、畳にめり込んだ状態だった。
死因は失血死。

巡査と巡査部長の2人は、13日午前2時に仮眠を終えて警らに出る予定だった。
しかし、巡査が「腹の調子が悪い」と申し出たため、
巡査部長は1人では警らできないことから
午前3時25分頃から、真岡署の当直勤務を応援するため交番を出ていた。


2008年2月10日午後5時頃、
栃木県益子町益子の真岡署益子交番の2階トイレで、
同交番で勤務中だった巡査長（27）が右側頭部を拳銃で撃って自殺しているのを、
同僚の巡査部長（60）が発見した。

トイレ内には「自分は弱い人間です。生きていくことに疲れました」と
書かれたメモが残されていた。
自殺した巡査長は2006年3月から同交番で勤務。
昨年11月から、家庭内の悩みを上司に相談していたという。

踊る幽霊の女の話

これは本当にあった話です｡
古い話なので多少間違ってるところがあるかもしれません｡

昭和55年、高校生たちがとあるアパートの1室で麻雀をしていました｡
1人が何気なく窓の外を見たら、女が長い髪を振り乱して踊っていました｡
「えっ？」と思ったそうです｡
その部屋はアパートの2階、
座った状態で見える窓の外は空中のはずだからです｡

そう、この奇妙な女は空中で踊っていたのです｡
当然、みんなで大騒ぎになりました｡
次の瞬間、ワイヤーアクションの様に躍っていた女が飛んできて、
その部屋の窓ガラスにへばり付きました｡
血だらけで禍々しい表情｡
部屋の中の人たちはよりパニック状態に。

その頃、隣の部屋の住人は、隣がやけに騒がしいので、
シンナーでも吸って騒いでるんだろうと思い、
その部屋に怒鳴り込んでいきました｡
隣の部屋の住人がドアを開けぱっなしにして入ったため、
その女が入ってきました｡
何人かは窓から飛び降りて逃げました｡
隣の住人は腰が抜けて動けません｡
そして、その幽霊と思われる女が誰なのかすぐに分かりました｡

その幽霊は、数年前にその部屋で
小学5年生の男子に刺し殺された被害者でした｡
部屋から逃げ出した1人が警察に通報して、
警察も来て大騒ぎになったそうです｡

次の日、新聞にその幽霊騒ぎに関係している事件が載ってました｡


【社会面：青森・八戸の母子4人他殺体、父は職質中に自殺】
青森県八戸市上組町のアパート1階の会社員・沢田秀人氏（43）方で、
妻と長男、二男、三男が死んでいるのを、訪ねてきた親族が見つけた。
秀人氏は行方がわからなくなっていたが、
県道のわきに停車していた乗用車内にいるところを岩手県警の捜査員に発見され、
職務質問を受けた直後に車を後進させて捜査車両に衝突、
更に自分の首を刃物で切り、
窓を壊そうとした捜査員を振りきって車ごと約10メートルの崖下に転落。
間もなく死亡が確認されたとのこと。

【事件概要】
八戸市上組町の会社員・澤田秀人容疑者（43）方で、
妻と子供3人が殺害された事件で、　
調べによると、アパートで殺害された4人のうち、
二男・奨君と長男・直弥君（13）は子供部屋、
妻・真由美さん（46）と三男・耀君（6）は寝室で死亡。

司法解剖の結果、奨君だけが首を刺されたことによる失血死、
ほかの3人は首を絞められたことによる窒息死だった。
同署は、4人の殺害にいずれも澤田容疑者が深く関与しているとみている。
（デーリー東北新聞社より）


【澤田秀人、小5の時の強盗殺人】
昭和50年12月21日、青森県八戸市にて、
おばのところに遊びに来た小学5年生の男子（11）が
同じアパートの女店員（29）が外出したのを見て、
部屋に侵入テーブルの上の5万円を盗もうとしたが、
戻ってきた女店員が「泥棒！」と叫んだため、
台所の庖丁で数回刺したとのこと。

男子は逃げようとすると女店員が血だらけになったまま捕まえようとしたので、
台所の別の庖丁で合計20カ所刺して殺害、そのまま逃走するものの、
翌日、空腹で戻って捕まった。
2年前に友達の家で火遊びをして3軒全焼している。
成績は中くらいで内気だった。　
（少年犯罪データベースより）

女性は全身に渡って刺されたり切られたりしたが、
致命傷は首の動脈を切られたことによるものとされた。
この強盗殺人事件と最近の心中事件、
両方とも「澤田秀人」という名前が出てきますが、
やはり同じ人なのでしょうか。