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ポテチの水彩絵の世界にようこそ! 気分でコメントや画像とか、恐いのや面白い毒ある話とか、 現実の花の色と違ったりとか、妙な感じです。
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http://blog.cnobi.jp/v1/blog/user/7170818ba3679a9c8a30a9deff30364e/1335075070

最近、私なんだかストーカーにつけられているみたいなんですよ。
この間も仕事からの帰宅途中、どうも何か気配を感じて、
後ろを振り返ってみると男と思われる人影が視界に入りまして、
その時はもう怖くて怖くて駆け足で自宅まで戻ったんです。

恥ずかしながら相談できるような知り合いも身近にはいないものでして、
仕方なく街の交番にお邪魔して話を聞いてもらったんですよ。
そうしたらそこのお巡りさんがとても親身になって相談に乗ってくださいまして、
なんでも、今日は私を自宅まで送ってくださるとのこと。 

体格のとても良い方ですし、彼が一緒ならストーカーも襲ってきませんよね。
割と硬派なタイプなのでしょうか。
彼、帰路の途中では男らしくダンマリ決め込んじゃいましてね。
私の数歩前をズシズシと先導してくださったんですよ。

はぁ、やっと自宅につきました。
鍵を開けて家に入るまで、ずっと見ていてくださるとのこと。
頼りになるな、このお巡りさんは。

途中で理解しました。
別にそんなことまでしなくても、あなたは私のタイプなのに。


http://blog.cnobi.jp/v1/blog/user/7170818ba3679a9c8a30a9deff30364e/1335075111

小さい頃、マンションで鬼ごっこしてたら友だちがそのままいなくなりましてね。
その日は仕方なく私は家に帰ったのですけど、結局その友だちは帰りませんでした。
最近になって、そういえば.....と、
私ふとマンションの屋上に上がれる様になっていたことを思い出したのですよ。
しかも、なんか狭い隙間みたいなところがあった様な。
友だちはもしかして、そこから落ちたのかなと。
そう思うといても立ってもいられなくなりまして、
早速、今日そのマンションの屋上に登ってみたのですよ。

そしたら案の定、友だちはそこにいました。
隙間から見下ろすと「助けてー」と手を振っていましてね。


http://blog.cnobi.jp/v1/blog/user/7170818ba3679a9c8a30a9deff30364e/1335075145

何年も前の話になりますけど、学校の帰り道、友だちと歩いていましたところ、
とてもおかしな相談を受けたのです。
彼が使ってるPCの画面の向こうに映ってる自分が、
凄くにやけた顔でこちらに手を振ってくるそうで、どうすれば良いか? というもので、
どうすれば....といわれたところで私は困ってしまったのですけど、
あまりに友だちの話をしてた顔がとても真剣だったということで、
「こっちからも手を振り返せば平和な感じで良いのでは?」と答えてみたのです。

するとその3日後に、その友だちは亡くなってしまいました。
亡くなった彼が、手を振り返したら、むこうの自分は手を振るのを止め、
今度は笑いながら手で何かを掴む動作を始めたとのこと。
そしたら、とても息が苦しくなって窒息して死んでしまったと、
私のPCの画面に映って凄くにやけた顔で話しておりました。
即座に母から頂いたお札を貼ってPCを叩き割ったことで、何事もなく済みましたけれど、
逆凪の対処って、本当に面倒ですね。


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http://blog.cnobi.jp/v1/blog/user/7170818ba3679a9c8a30a9deff30364e/1334755310

あるサイトで彼と出会った。
そしてある日、初めてデートをした。
少し俺が遅れたからか、彼は怪訝そうな顔をしていた。
緊張していたのか無口なヤツで、あまり言葉を発さなかった。
目もあまり合わしてくれない。
食事を楽しんだ後、彼の部屋に行った。
彼は言葉のとおり、人生に疲れた様だった。
なのでさっそく、とっておきのプレゼントをあげた。
すると彼は激しく喜んでくれた。
代わりに、俺が好きなジグソーパズルをくれた。
俺は一旦組み立てられたパズルを壊すのが好きな "変わり者" だ。
翌朝、1ピースを持って部屋を出た。

俺は今までも "パズルが好きなんだ" といっては、
ジグソーパズルをよくプレゼントしてもらうのだが、
1ピースだけ持って帰って、後は忘れるという変な癖がある。


http://blog.cnobi.jp/v1/blog/user/7170818ba3679a9c8a30a9deff30364e/1334755351

ついこの間の話さ。
俺はその日、偶然出くわした大学時代の後輩と呑んでヤリすぎちまったせいで、
夜中にトイレに起きたんだ。
その途中、ふと個室の方に目をやると誰か浮いてるんだよ。
暗くてよく分からなかったが、男の様だった。

俺は昔っから霊感が強くって、よくこういうモン見ちまうんで、
またかと舌打ち、無視して寝たんだ。
そうしたら翌朝ビックリさ。
あそこで浮いてたのは俺の首吊り死体だったんだ。
やっぱ、後輩とあの時の


http://blog.cnobi.jp/v1/blog/user/7170818ba3679a9c8a30a9deff30364e/1334755399

もうすぐ日付が変わろうかという遅い時間、
最近やたらとつかれやすくなった俺は寝ようと布団に入ったところで、
遠距離恋愛中の恋人から電話がかかってきた。
「ういーす」
「おう、コウタか。元気か?」
「なあ、今度はいつ会えるよ?」
「うーん、そうだなぁ、来週辺りには仕事も落ち着いてると思うからさ」
「ふーん、そう....」
「おいおい、なんだよその冷たい返事はー」
「....前から思ってたんだけど、お前、浮気してるだろ?」
「はぁ? なんで? 昔の俺ならともかく、
発展場にも顔出さない真面目な俺がそんなのするわけないだろ?」
「だって、いっつも男の喘ぐ声が聞こえてるんだけど」

「....おかしいなぁ。聞こえるはずはねぇんだけど」


http://blog.cnobi.jp/v1/blog/user/7170818ba3679a9c8a30a9deff30364e/1334755435

俺はある夜、悪夢をみて目を覚ました。
部屋の中では恋人が漫画を読んでいて、ただ、俺は夢をみていたのだと安心した。
「なんだ、どうしたん?」
俺が起きたことに気づいて、彼は本を伏せて、そう尋ねてきた。
俺はとても恐ろしい夢をみたのだが、どうも内容が思い出せんことを伝えると、
突然、彼が後ろ手に隠した包丁で俺を刺した。

しかしそれは夢で、俺は再び目を覚ました。
悪夢同様に、今度はセフレが漫画を読んでいた。
俺は夢であったと知り、思わず彼に抱きついた。
「おうおう、また再開ってか?」
「ちげーよ。スッゲー怖い夢をみたんだよ。お前が俺を殺そうとする夢」
そう聞いた彼はクスリと笑った。
「バカだなぁ。包丁なんかで殺すわけないじゃないか」
そう言って、側に置いていたドライバーで俺を刺した。

しかしそれはまた夢で、俺はまた目を覚まし、
また彼に殺されるというのを何度も繰り返した。

最後に俺は彼に揺り動かされて、半ば強制的に目を覚ました。
「なんだよ! お前、大丈夫か? スッゲーうなされてたぞ!!」
「......」
そして彼は俺を抱き締めた。
俺の目にすぐそばに置いてあったドライバーが映った。
こっちがやらなければ、またやられる。
俺には既に夢と現実の区別はついていなかった。

もう、これで悪夢はみないだろうと俺はまた布団に入り直し、
再び眠りについた。


http://blog.cnobi.jp/v1/blog/user/7170818ba3679a9c8a30a9deff30364e/1334755550

Steven Klein 「Games and Restrictions」
http://www.kaltblut-magazine.com/games-restrictions-by-steven-klein/


http://blog.cnobi.jp/v1/blog/user/7170818ba3679a9c8a30a9deff30364e/1334721980

3年前の春、妻と俺が念願の娘が生まれ、今年で3歳を迎えると、
アパートも手狭になったので、中古のある一軒家を買った。
それが、築3年で庭付き駅近、信じられないような格安物件だったんだ。
友人には「事故物件じゃね?」なんて言われたけど、
不動産屋に問い合わしたら、誰かがそこで亡くなったということはない様だし、
ご近所の人たちも気さくで優しいし、
今時珍しいおすそ分けなんかも頂けるので俺は気に入っている。
「時々、おこげ入りの失敗作もあるのよ」なんて、妻は笑っているが。

しかし、半年程過ぎた頃から、妻の体調が悪くなり、
「視線を感じる」と怯えるようになった。
やはり、この家はいわく付きなのだろうか?

http://blog.cnobi.jp/v1/blog/user/7170818ba3679a9c8a30a9deff30364e/1334722068

不動産屋は特に無いですよとは言っていたものの、
やっぱり気になる。
そこで家が立つ前は何だったのか、
隣りに住んでいるお婆さんに聞いてみると、
「元々その場所はね、うちの畑だったのですよ。
 亭主がいなくなってから、手入れが出来なくなってね。
 仕方なく手放しましたの」
と、いつもながら気さくに答えてくれたものの、
なんだか少し寂しそうだ。
そういえば、彼女の家族が出入りしているところは見ないな。
寂しいから、色々と隣の俺たちの世話を焼いてくれるのだろうか。

ある日曜、俺は相変わらず具合の悪いままの妻に変わり、
娘と遊んでやろうと庭に出た。
以前の住人も子持ちだったのか、小さな砂場がある。
そこで砂遊びをさせていると、
砂の中から真新しいクマのぬいぐるみが出てきた。
もしかして、娘が埋めたのか?

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手に取ろうとするも、何か違和感を感じ、慌てて手を離した。
よく見ると胴体の部分が赤い糸で縫い直されており、
びっしりと隙間なく針が埋め込まれていた。
先に娘が触っていたらと思うと....ゾッとしてすぐに警察に電話した。

駆けつけた警察官に庭で必死に説明するも、
あまり真剣に取り合ってもらえなかった。
「この2、3年かな。よくそういうイタズラは聞くんですけどね」
そんなやり取りをしていると、隣りのお婆さんがひょっこり顔を出した。
「どうしたのですか?」
「はい、気味悪い人形が庭に埋めてあったんですよ。悪意があるとしか思えません」
「あらあら、それは怖いわねぇ。それでお子さんは?」
「え?」

「怪我とかは大丈夫だったの?」



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私は上野から電車で1時間ほどのところに住んでいる。
その日は連続していた残業が終わり、土曜日の休日出勤ということもあって、
よく行くバーで同僚の友人と深夜まで飲み、終電で帰った。

ちなみに私の自宅からの最寄り駅の前には普段からタクシーが少なく、
深夜近くなるとタクシー待ちの列が出来ていることが多い。
いつも利用してる自宅までのバスの最終は早く(なんせ、田舎ですので)、
この1週間ほどは帰宅時間が遅くて、毎晩タクシーを利用していた。

さてと、今夜は土曜日だから平日よりたくさんいるかな....と、
ウンザリながらも覚悟して駅前に行くと、
珍しくタクシー待ちの列が無かった。
中年女性が1人立っているだけ。
みんな、飲んで憂さ晴らしすることなく真面目に帰宅してるのねと、
ホッとした私はタクシー乗り場へ向かおうとした時、
階段を駆け降りてくる足音が聞こえてきたと思ったら、
あっという間に私をを追い越したサラリーマン風の若い男が
中年女性の後ろに並んでしまった。
あっけにとられると同時に少しムッとしたが、
まあ、2人だけだし、そんなに待たずにすぐにタクシーに乗れるだろうと、
程よく酔っぱらって気を好くしてる私はその男の後ろに並んだ。

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程なく1台のタクシーがやって来て中年女性を運んで行った。
よし。あと2台、早く来て〜
1台目が去ってから15分くらい待った頃、携帯で自宅の母に連絡していると、
ようやく、タクシーのヘッドライトが見えた。
さっそく前にいる男が乗り込み、運んで行った。

駅前から遠ざかるそのタクシーを見送りながら、私はふと思った。
このタクシーが来るのに20分か。普段より待ち時間が長いかも。
少ないとはいえ、もう少しタクシーの回転数は早かったような気がしたけど。
最初のタクシーが黒で今のタクシーも黒。
いつもは黄色やらオレンジやら、何社かのタクシーが来てたと思うんだけど、
まさか、土曜だから1台だけってこと? このタクシー儲かるじゃん。
その分私は疲れが倍増していくけど....

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20分も待った頃、念願のタクシーがやって来た。
さっきの黒いタクシーだ。やはり1台きりで廻ってるのだろう。
乗り込んだ私はタクシーに乗り行先を告げた。
「XX町公民館を過ぎたところにある化学工場の前までお願いします」
「土曜なのにお仕事、遅くまで大変ですなぁ。夜勤か何かで?」
と人の良さそうな運転手が話し掛けてきたものの、
とたんに睡魔が襲ってきてウトウトな私は面倒なので、
「ええ、まあ」などと曖昧に答えた。

20分程して公民館の前を通ったので、私はもう一度、
この先の工場前で停めてくださいと運転手に告げた。
ちなみに私の自宅はこの工場に隣接した小さな用水路を渡った農道沿いにあり、
そこまで車は入れなかった。
工場の建物か見えてきたので、
私は財布からタクシー代を出そうとしていると運転手が言った。
「ところでお客さん、この工場で働いてる人?」
お節介な運転手だな。そうだとしたら(そうじゃないけど)、
いったい何だっていうのかしら。
「いいえ。違いますよ」と少し強く言うと、
何とタクシーは工場の前を通過して行ってしまった。

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驚いた私は、「ここです! ここで降ります!」と言うも、
運転手はそのまま走らせて行った。
「ちょっと、運転手さん! 通り過ぎたじゃないの!」と少し強く言うと、
運転手は車を走らせながら、
「お客さん、火曜日にも乗ったでしょ?」と私に聞いてきた。
そういう間にもどんどん自宅から遠くなっていく。
確かに今週はタクシーを毎晩使ったが、それが何だというのかしら?
訳が分からず、私は答えずに固まってしまった。

しばらくその道を走るとコンビニの灯りが見えて、
タクシーはその駐車場へ入った。
タクシーを止めると、後ろを振り向いて運転手が言った。
「咄嗟にとはいえ、すみませんね、お客さん。でもちょっとあれはねぇ.....」
すると運転手は名刺を取り出し、
私の所属する会社の電話番号はここにあるので苦情が有れば私の名前を言って、
と前置きして言った。

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火曜日もこの運転手のタクシーに私を乗せたという。
初めは気が付かなかったのだが、
"化学工場" という名前で思い出したそうだ。
「実は、あなたの前に、男性客を乗せたんだけどね」
私を追い越していったサラリーマン風の若い男のことだ。
「その客がね、さっき、"化学工場" で降りたんだよ」
タクシーの中でその男は携帯で、”もうすぐ着くから” とか "何分後だ" とか
"酔っぱらってていい感じ" などと電話で話していたのを聞いたという。
そういえば、この運転手は私に夜勤がどうの、
その工場の関係者かを問う質問をしてきたのを思い出したが、
まだ何故ここまで通り過ぎたのかが分からない。
私はそれを訪ねると、運転手曰く、
「あなたを火曜もあの工場の前で降ろしたから、
 これからまた今夜も夜勤なのかなと思ったんだけど、
 話を聞くとその工場の人じゃなさそうだし、さっき通った工場の事務所は
 電気点いてなかったから閉まってそうだったからね。
 あの男性客も工場勤務じゃないんだろうなと考えてたら、
 道の反対側にワンボックスが1台停まっていたのに気づいたんだよ。
 男が後ろに4人くらい乗ってたかなぁ。
 それがね、ライトが当たった瞬間、サッといっせいに隠れたんだよ。
 怪しいだろう?
 しかも運転席に居たのは間違いなくあの男性客だったからねぇ、
 あなたに何か遭ったら俺も後味悪いからなぁ」

そういえば、私は携帯で母に話した内容を思い出してゾッとした。
母さん? そう、今駅。これからタクシーに乗るから、
"化学工場" まで....



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私がまだ学生だった2年くらい前のこと。
その頃、無性に海外旅行に行きたい!ということで、その資金調達のため、
早速アルバイトを探すことに。

まだ4月だというのに暑い日が続いてて、
私は汗をかきながら求人雑誌をめくっては電話していた。
ところが、何故かどこもかしこも駄目、駄目駄目。
擦り切れた畳の上に悪態をつきながら大の字に寝転がると、
すぐ横に散らばった雑誌の1つの開いたページが目に入ってきた。
そこには、とある山の麓の旅館が宴会係の求人募集しているものだった。
その場所は偶然、日本で私が行ってみたいと思ってたところ。
条件は夏の期間だけのもので時給はあまり高くはないものの、
"住みこみで食事付" というところに強く惹かれた。
ずっとカップメンしか食べてなかったので。
接客は前のバイトで慣れてると思うし、
まかない料理でも手作りのものが食べれて、
しかも良いなと思った場所。
まだ午後3時、今なら丁度いいタイミング。
私はすぐに電話した。

http://blog.cnobi.jp/v1/blog/user/7170818ba3679a9c8a30a9deff30364e/1334288763

「はい、お電話ありがとうございます。麓○山旅館です」
「あ、すみません。求人広告を見た者ですが、まだ募集してますでしょうか?」
「はい、少々お待ち下さい.......ザ....ザ....ザザ....い、....そう...だ.....」
旅館の受付の電話の声は若そうな女性だった。
電話の向こう側で低い声の男性(宿の主人でしょうか?)と
小声で会話をしている様子。
私はドキドキしながら正座なんかしちゃったりして、暫く待っていた。
やがて向こう側で受話器を握る気配と共にその男性に代わった。
「はい、お待たせしました。あなたはアルバイト募集の方ですか?」
「はい。雑誌の求人でそちらを知りまして、是非お願いしたいのですが」
「あー、それは、ありがとうございます。こちらこそお願いしたいです。
 いつからこちらに来れますか?」
「いつでも私は構いません」
「それでは、明日からでもお願いしますよ。それでは、お名前は?」
「真崎です」
「真崎さんですね。はやくいらっしゃい....」

とんとん拍子だった。運が良かった。
ちなみに私は電話の用件などを忘れない様に録音していて、
旅館の住所や必要事項などを確認するべく、再度電話内容を再生しました。
住みこみなので持っていくものの中に、
保険証なども必要とのことだったのでメモしておかなくては。
改めてその求人のページを見ると、白黒で旅館の写真が写っていた。
こじんまりとして自然に囲まれた凄く良さそうな場所。
私は急に事が進んだいうこともあってホっとした。
しかし、何か変だ。

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日はいつの間にかとっぷりと暮れ、
開けっぱなしの窓から湿気の多い生温かい風が入ってきた。
私はカップメンを食べつつ、私は夢想した。
条件は良く、旅費を稼ぎながら、ある意味、旅行も味わえる。
女の子も働いている様だから、
もしかしたらちょっとした出会いもあるかもしれない。
しかし、何か変だ。
ふと、暗い窓ガラスに映る自分の顔を覗くと、
生気が無くなっていることに気がついた。

翌日、私は酷い頭痛に目覚めた。
するとあまりの気持ち悪さに激しく嗚咽してしまった。
風邪だろうか? 私はふらふらしながら歯を磨いた。
歯茎から血が滴った。
鏡で自分の顔を見るとギョッとした。
目の下にくっきりと墨で書いたようなクマが出来ており、顔色は真っ白。
まるで、死人の様。
今日行くのは止めようかなと思ったが、
すでに準備は昨夜のうちに整えているし、
第一、旅館の方々に悪い印象をもたれてしまう。
しかし、どうしよう。気が乗らない。
その時、電話がなった。

「おはようございます。麓○山旅館の者ですが、神尾さんでしょうか?」
「はい。今準備して出るところです」
「わかりました。それにしても、体調が悪いのですか? 失礼ですが、声が....」
「あ....すみません。今起きたばかりでしたので」
「無理はなさらずにいらしてくださいね。
 こちらに到着されたら、まずは当旅館を知っていただくためにも、
 温泉などつかって頂いて構いませんよ。初日はゆっくりとしててください。
 今はそこまで忙しくはありませんので」
「あ....大丈夫です。お気遣いありがとうございます」
「それでは、お待ちしております。最寄り駅に着きましたら連絡くださいね。
 迎えにいきますから」

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私は電話を切り、少しして家を出た。
あんなに親切で優しい電話。ありがたかったな。
しかし、電話を切ってから今度は寒気がしてきた。
玄関のドアを開けると眩暈がした。
「と....とりあえず、旅館まで着けば....」
私はすれ違う人が振りかえるほどフラフラとしながら駅へ向かった。

やがて雨が降り出した。
傘を持ってなかった私は駅まで濡れながらいくことになった。
激しい咳が出る。
「ああ....はやく旅館で休みたい.....」
私はびしょ濡れで駅に辿りつき、切符を買った。
その時、自分の手を見て驚いた。
まるで老人の様にひび割れてカサカサになっている。
雨で濡れたにも関わらず。
「ヤバいな....私は病気か? 旅館まで無事に着ければいいけど.....」
私は手すりに縋る様にして足を支え、何度も休みながら階段を上った。

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電車が来るまで時間があった。
私はベンチに倒れるように座りこみ、苦しい息をした。
ぜーぜーと声が枯れ、手足が痺れている。
そして波の様に頭痛が押し寄せる。
発作的に酷い咳をすると足元に血が散らばった。
私はハンカチで口を拭った。
吐血している。
私は霞む目でホームを見ていた。
「はやく.....旅館へ.....」
やがて電車が轟音をたてながらホームに滑り込み、ドアが開いた。
乗り降りする人々を見ながら、私はようやく腰を上げた。
腰痛が激しくも、フラフラと乗降口に向かう。
体中が痛む。
取りあえず、この電車に乗れば.....
そして、ドアに手をかけた瞬間、体が外に強く引っ張られた。

ドシンっ!
私はふっ飛ばされホームに転がった。
「やめろ! やめてくれ! 私はあの電車に乗らないといけないんだっ!
りょ、旅館に行けなくなってしまう!」
やがて駅員たちが駆けつけ、私は囲まれた。
電車は行ってしまっていた。
私は立ち上がることも出来ず、人だかりの中心で座りこんでいた。
すると私と同じ歳くらいの男が近寄って呟いた。
「お前まで引かれてた。もっと喝を入れろ。また来るぞ」
そして彼は去っていった。

私は駅員と少し応答をした後、すぐに帰された。
駅を出て仕方なく自分のアパートへ戻ることにした。
すると体の調子が良くなってきた。
声も戻ってきた。
鏡を見ると血色がいい。
私は不思議に思いながらも帰宅した。


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荷物を下ろし、タバコを吸い、電話の前に座った。
落ち着いた私は、やはり断わろうと旅館に電話をかけた。
すると無感情な軽い音声が帰ってきた。
「現在、この電話番号は使われておりません」
再度かけ直す。
「現在、この電話番号は使われておりません」
私は混乱した。
着信履歴からして、
この番号で今朝、あの旅館から電話がかかってきたのだ。
そういえば...と、私は通話記録を録音していたのを思い出した。
最初まで巻き戻して聴いてみることに。

「ザ....ザザ....はい。ありがとうございます。麓○山旅館です」
あれ? 私は悪寒を感じた。
電話の応対は若い女性だったはずなのに、
声がまるで男性の様な低い声になっている。
「あ、すみません。求人広告を見た者ですが、まだ募集してますでしょうか?」
「はい、少々お待ち下さい.......ザ....ザ....ザザ....い、....そう...だ.....」
ん?? 向こう側で会話をしていると思ってたけど、
良く聴くと何か変に気がする。
私は巻き戻し、音声を大きくしてみた。
「はい、少々お待ち下さい.......ザ....ザ....ザザ....い、....そう...だ.....」
もう一度、巻き戻す。
「はい、少々お待ち下さい.......ザ....ザ....ザザ...むい、こご...そう...だ.....」
もう一度、巻き戻す。
「.....さむい、こごえそうだ」
良く聴くと子供の声が入っている。
更にその後ろで大勢の呻き声が....
うわぁっ!! 私は咄嗟に電話から離れた。
すると通話記録がそのまま流れた。

「あー、それは、ありがとうございます。こちらこそお願いしたいです。
 いつからこちらに来れますか?」
「いつでも私は構いません」
記憶にある会話。
私は中年くらいの男性と話をしていたはずだ。
しかしそこから流れる声は地面の底から響く様な老人の声だった。
「真崎さんですね。はやくいらっしゃい....」
そこで通話が途切れ、私の体中に冷や汗が流れ落ちた。

暫く私は金縛りにあったかの様に動けなかったが、ようやく落ちついてきた。
すると、そのまま通話記録が流れた。
今朝、掛かってきた電話だ。
しかし、話し声は私だけだった。

「私たちの荷を軽くするための依り代となるがいい」
「はい。今準備して出るところです」
「死ね死ね死ね死ね死ね」
「あ....すみません。今起きたばかりでしたので」
「死ね死ね死ね死ね死ね」
「あ....大丈夫です。お気遣いありがとうございます」

http://blog.cnobi.jp/v1/blog/user/7170818ba3679a9c8a30a9deff30364e/1334289434

私は電話の電源ごと引き抜いた。
目の前にある、あの求人雑誌を咄嗟に掴み、
震えながらあのページを探した。
すると見つけたものの、あのページは切り離され、床に落ちた。
昨日見た時は他の紙面と同じ風だったのに、
この落ちた紙はシワシワで黄ばみ、何かのシミが大きく広がり、
少し焦げていた。
まるでかなり前の古雑誌の様。
そしてそこに全焼して燃え落ちた旅館写真と記事が掲載されていた。
『死者30数名。台所から出火した模様』
泊まりに来ていた宿泊客たちが逃げ遅れて炎にまかれ焼死。

これって求人情報ではないじゃないか!
するとお札の様にそれが張り付き、一瞬、闇が私を包んだ。

そして、電話がなった。





プロフィール
HN:
ポテチ/ラダ
年齢:
50
性別:
男性
誕生日:
1974/04/11
職業:
会社員
趣味:
単館系映画鑑賞、音楽や絵画鑑賞、そして絵を描くことと...
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