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ポテチの水彩絵の世界にようこそ! 気分でコメントや画像とか、恐いのや面白い毒ある話とか、 現実の花の色と違ったりとか、妙な感じです。
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彼女は、職場の同僚である彼を愛していた。
彼女の容姿はお世辞にも美しいとは言えず、同僚は皆彼女の容姿を馬鹿にしていた。
彼は美貌と才能に溢れていたが、
他の同僚の様に彼女を馬鹿にしたりなどせず、とても優しかった。
その優しさに、自分が釣り合うはずがないと嘆きつつも、
彼を想う気持ちを止められない。
彼女は彼に愛されたい一心で、美しくなる為の努力に全てを費やした。
その甲斐あってか、彼女は誰もが羨む程美しくなった。
今まで彼女の容姿を馬鹿にしていた同僚たちも、
女は羨望の、男は憧れのまなざしで彼女をみる様になった。
そして彼女はついに彼に告白をし、彼もまた彼女を愛していると熱く告げた。

翌日、彼女は会社の屋上から飛び降りてこの世を去った。
屋上に遺された遺書にはたった一言、
『帰りたい』と書かれていた。


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ある真夜中。
彼はなんとなく隣にいる妻の手を握っている。
冷たいな、などと思いながら細い指先を軽く揉んでいると、
突然、動くことのなかった彼女がむくりと起き上がり、
彼に縋りつくと泣きながら言った。
「あなた、助けて。オリオン座から電波が飛んできて私を殺そうとするの」

あまりのことに一瞬、彼は驚き言葉を失った。
しかし、即座に何が起こったか理解した。

妻は狂ってしまったのである。
社会生活を送るストレス、生活への不安。
そうしたもののせいで、精神を壊してしまったのだ。
この世にありえない幻覚を見ているのである。

泣きじゃくる妻をなだめながらも、彼は冷静だった。
とにかく、今必要なものは、治療だ。
病院である。
これは異常事態であり、こういう状態を放置していいはずがない。
翌朝。
彼は解雇を言い渡されていたので、仕事にいく必要はなかった。
彼は彼女を抱き上げ、衣装を取替え、部屋の座椅子に座らせると、
電話で精神科の予約をとった。


http://blog.cnobi.jp/v1/blog/user/7170818ba3679a9c8a30a9deff30364e/1311133913

ある真夜中。
彼は窓際の机で、勉強をしていた。
真夏の割に夜気が快かったので窓を開けていた。
すると通行人が窓から、
「すみません。今何時ですか?
終電に間に合わなかったらタクシーにしようかと思って」と聞いてきた。
夜中だし、突然でびっくりしたので、つい彼は「わかりません」と答えてしまった。
通行人は「そうですか、失礼しました」と去った。
彼は再び勉強に戻った。
「普通携帯ぐらい持ってるだろ。携帯で時間みろよ」と思った。

しばらくしてから、
「夜だし、酒でも飲んるうちに、携帯無くしちゃったのかもな。
ああ、時間を教えてあげればよかった」と、
彼は自分の不親切ぶりにちょっと後味の悪さを覚えることに。

そして、よく考えてみたら彼が勉強していたのは5階だった。


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数年前、荒くれ漁師のクマドの暮らす海に天から隕石の様なモノが落ちた。
以来の海では奇形の魚しか捕れなくなった。

ある日、クマドは天女たちが水浴びをしているのを目にした。
彼は1人の天女の羽衣を奪い、強引に妻にすることに。
「ハネ」と名付けられた天女は優しく慈悲深い女。
養父母に虐待されながら育ったクマドは初めて愛情を感じた。
ただ、彼女はいつも張り付いたような笑みしか浮かべていないのが気になった。

ハネは美しかったので、村の男たちは次々と手を出した。
村の女たちはハネが男たちを誘惑したのだと嫉妬し、彼女を折檻した。

ある日、養父がハネを犯しているのを知ったクマド。
怒りのあまり、養父を殺し、海に投げ捨てた。
クマドはハネに「嫌ではなかったのか」と聞くと、
「あなたにされたのと同じことですわ」とあの笑みを浮かべた。
彼は何も言えなかった。


http://blog.cnobi.jp/v1/blog/user/7170818ba3679a9c8a30a9deff30364e/1309584063

やがて、ハネは子供を産んだ。
誰の子かはわからない。
ただ、眼が飛び出しそうなほど大きく、
頭は大きいばかりで、身体はガリガリに痩せている奇形の魚に似ている子だった。

数年後、クマドの村近くに、落ち武者の集団が流れてきた。
漁師たちが海に出ている間、慈悲深いハネは彼らの手当てに1人向かうことに。
手負いの獣と化していた武者たちは、美しく優しい彼女に襲いかかった。
クマドが慌てて駆けつけた時には、彼女は無惨な姿にされ、瀕死の状態だった。
クマドはなんとかならないかと、土に埋めて隠していた羽衣を掘り返した。
羽衣はすでに朽ちていた。
それでもそれをハネにかけてやると、彼女は傷1つない天女の姿に戻った。

「天に帰らないでくれ、子供もいるんだ。俺のことを愛してくれているんだろう」
クマドはそう呼びかけたが、ハネは菩薩の笑みで答える。
「あなたのことは憎んでいません。愛してもいません。何とも思っていません」
クマドは絶望のあまり絶叫した。

天女は天に昇りながら、
ただ、暗い地上で愛憎にまみれて生きる矮小な人間たちを憐れみ、涙をこぼした。


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「かわいいねぇ」
初めて出会った時にそう言ってくれた人と私は結婚した。
彼は毎日私のために料理を作ってくれる。
自分専用の包丁を持っていて、彼の作る料理は職人並に美味しい。
彼には変わった趣味があるけど、
そんな趣味を差し引いても、彼は優しくて本当に良い人。
彼は包丁を研いでいる時でさえ、私の顔を見て
「かわいいねぇ...かわいいねぇ...」と言ってくれる。
私は幸せ者だわ。
だけど最近、彼の優しさに甘えてかなり太ってしまった。
幸せ太りかな?
誕生日までには少し痩せないといけないな。
実は今度の私の誕生日に何か特別な事をしてくれるらしい。
私はその日が待ち遠しくて仕方がない。


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当時、今の嫁さんと同棲していた時期に二股を掛けてたんですけどね。
浮気相手の彼女、事故で亡くなってしまったので、
不謹慎な言い方ですが、特に修羅場を潜る事なく、関係は精算出来たんです。
事故の知らせを聞いた時は流石に焦りました。
なんでも、私の自宅前に架けられている歩道橋から足を滑らして落ちたとかで....

夜中だったのですが、たまたま嫁さんも帰宅していなかったので、
病院に駆け付けましたよ。
すでに親族が集まっていたので、看取ってあげる事は出来なかったんですけどね。
 何で唐突にそんな話をというと、先週子供が産まれたんですが、
妻が出産した病院は亡くなった彼女が運ばれた場所でして。
それよりも、俺の子供がね、どことなく彼女に似ている気がするんですよ....


http://blog.cnobi.jp/v1/blog/user/7170818ba3679a9c8a30a9deff30364e/1309584354

僕が中学2年生の頃。
ある日、ちょっとした悪戯心で新任の若い女の先生を驚かそうってことになって、
先生が体育館に1人でいた時に僕たち5人くらいで取り囲んだ。
プロレスの技の足を持ち上げて宙でグルグル回す
ジャイアントスイングをしようとしてたんだけど、
羽交い締めにすると先生がもの凄い悲鳴を上げると、
周囲の準備室の扉が開いて昼休み中の男の先生たちが飛び出してきた。
「お、お前らぁ、なにやっとるかっ!」
もう生徒じゃなくて不審者を恫喝する表情だった。
「こ、この子たちがぁぁぁ」
羽交い締めにされていた先生も顔をグシャグシャにして叫んだ。
「これは私たちだけでは処理できない。校長を呼ばなければ」と、
先生たちが集まってくる。
僕は何か勘違いされてるのではと激しく感じて、
ここは毅然とした言い訳をしなければならないと思ったから、
僕はグイッと一歩前に出てよく通る声で言った。

「僕たちはただ、先生を回そうとしていただけです」


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臨月に入ったある奥さんが電車に乗った時の出来事。
上品な紳士に席を譲られ、お礼を言って座りました。
その紳士が下車する一瞬、
彼の着るスーツの襟に付いた見覚えのある社章に気付きました。
「あの社章は主人と同じ会社のものだわ」

帰宅したご主人に事の顛末を話しました。
奥さんから聞いた背格好から推定し調べた結果、
顔見知りな別の課の課長さんである事が判りました。
次の日にご主人はこの課長さんに昨日の話をすると、
彼は「ああ、君の奥さんだったのか。こんな事もあるんだねぇ」と言い、
この偶然について大変驚いていたそうです。

3ヶ月後。
課長さんの自宅に、奥さんの名前で1通のハガキが届きました。
赤ちゃんの写真が印刷され、
その横にはこう書き添えられていました。
「その節は、ありがとうございました。この子は、あの時の子供です」

その日、課長さんの家は、大変な修羅場と化したそうです。


http://blog.cnobi.jp/v1/blog/user/7170818ba3679a9c8a30a9deff30364e/1308490425

ある男が旅をしていて、とある街での出来事。
利用した乗り合い馬車の運転手から法外な料金を請求されて素直に支払ったことから、
この旅の男はなんという愚かな男かと、小さな街の人々は口々に噂することに。
それから街の人々が次々と話しかけては、言うことを男は信じ、
その度にお金や服などを騙し取られてしまった。
「おかげで助かります」と言う街の人のウソにも、男は涙をポロポロ流し、
「お幸せに、お幸せに」と喜んでは歩いていった。

とうとう持っている物を全部、街の人々に騙し取られ、
全裸になってしまった旅の男。
さすがに恥ずかしくなった男は森の中を旅することに。
鬱蒼と妖しげで暗い森の道を歩いていくと、今度は森に棲む魔物に出会った。
魔物は男の肉体を食べたくて、言葉巧みに話しかけた。
ここでも男は素直に受け止め、その度に腕を1本、足を1本と騙し取られてしまった。
この魔物が他の魔物に男の話を振れ回ると、
結局、男は頭だけになってしまった。
そして、最後の魔物に目をあげることに。
最後の魔物は目を食べながら「ありがとう。お礼に贈り物をあげます」と置いていった。
贈り物は紙切れ1枚。
目の見えない頭だけの男はポロポロと涙を流しながら、
「初めての贈り物だ。ありがとう、ありがとう」と喜び、
その紙切れに書かれた内容が分からぬまま、死んでしまった。


http://blog.cnobi.jp/v1/blog/user/7170818ba3679a9c8a30a9deff30364e/1308490489

ある男は列車に乗っていた。
懸賞で旅行券が当たり、普段乗ることのない列車の旅を楽しんでいた。
窓の外に広がるのは田舎の穏やかな風景や荒れ野原など。
移りゆく景色を楽しんでいると、
ふと、列車の進行方向とは逆の方へ走る人々がちらほらと見えた。
列車が進むにつれ、その人の数は増していく。
はて、向こうで祭でもあったかと男は考えるが思いあたらない。
何より、よく見ると走る人々の顔は悲壮や恐怖に歪んでいた。
さらには家財道具一式が積まれたらしい馬車まで現れた。
列車に1番近い馬車に乗った人は目を一杯に見開き、
男が持つ旅行券を見つめ、口を何事か動かし、列車の進行方向を差し示した。

男は理解した。人々は逃げていたのだ。
この列車の行く先にある恐ろしいことから。
列車内の他の乗客たちを見ると、
戦地に赴く兵士の様に沈み、口元を悲壮に歪めながらも、
覚悟に満ちた表情を浮かべていた。
何がこの列車の行く先にあるのかはわからない。
男は他の乗客たちと同様の覚悟を決めた。


http://blog.cnobi.jp/v1/blog/user/7170818ba3679a9c8a30a9deff30364e/1308490524

ある男が旅をしていて、海外のとある街での出来事。
一夜を共にした現地に住む女性から別れ際にメモを渡された。
現地の言葉で書かれていたため、男には読めずじまい。
そこでホテルや店の従業員に聞くと、メモを読んだ従業員たちは顔色を変え、
内容は教えずにただ出ていけと言った。

憮然としながらも紙切れの中身が気になる男。
帰宅後、語学力のある妻に自分に起こった出来事を知り合いの話の様に話し、
それを見せた。
男の話を「あり得ない、おかしなこともあるものね」と笑いながら聞いていた妻だが、
メモの内容を読むと態度を変え、離婚すると告げ、出ていってしまった。

ますますメモが気になる男は1番信用でき、会社の共同経営者である友人に全てを話し、
「何が書いてあっても君を信用する」と言った友人にそれを見せた。
しかし、そんな友人も態度を変え、更には
「君には多く会社の資産を分配するから共同経営を辞めてくれ」とまで言う。
メモの内容には口を閉ざしたまま。

金以外の全てを失った男は外国語を習い始めた。
もちろん、メモの内容を読むために。
しかし、その頃にはもう、メモは汚れ、破れ、更には、読み解く前に紛失してしまった。
男は途方に暮れた。

あの紙切れにはいったい何が書いてあったのか。


http://blog.cnobi.jp/v1/blog/user/7170818ba3679a9c8a30a9deff30364e/1308218162

とある小学校の教室の中、子供たちの前で1人の中年女性教師が泣いていた。
そこへ、時報と同時に別の若い女性教師が入って来た。
「子供たちはどうなる」と訴えていた中年教師を教室から送り出し、
その教師は子供たちに語り掛けた。

最初は、不審気な表情を見せる子供たち。
するとこの教師が子供たち全ての名前や特技などを言い当て、
それを3日間で覚えて来たと話すと、次第に心を開き始めた。

次に教師は、教室に掛かった額の中の言葉の意味を問い掛ける。
「平等・自由・平和」

そこで、1人の少女が教師の着ていた服について尋ねた。
「あら、こんな服は嫌いかしら?」と教師が尋ねると、少女は服を褒めた。

「それでは、これからは、みんなにも同じ服を着て貰いましょうね。
そうすれば、明日着て行く服を考えなくてもいいでしょう?
みんな同じ服。これが平等だと思わない?」


http://blog.cnobi.jp/v1/blog/user/7170818ba3679a9c8a30a9deff30364e/1308219082

この意見に、1人の少年が食って掛かった。
すると、教師は続けた。
「そうね、何を着るのも勝手。それが自由というのよ」
これにも反抗する少年。
この少年の父親は、どこかに連れて行かれていたのだった。
教師は、「大人でも学校に行く」「すぐに帰って来る」と言う。
少年は机の中から新聞の切り抜きを取り出した。
「クーデターが起きて、日本の憲法が変わっちゃったんだ!」
「憲法って何?」
「国の決まりのことよ」
教師は、これにも優しい口調で答える。
「国の決まりでも、間違っていたら変えなくてはいけないの。そう思わない?」

そして、女性は明日から『お泊り』に行く事を発表した。
キレイな部屋で美味しいものを食べると聞き、喜ぶ子供たち。
何が食べたいかを子供たちに尋ねた教師は、おもむろに言い出した。

「さぁ、みんな目を閉じてお祈りしましょう。『神様、お菓子を下さい』と」


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くすくす笑いをこらえながら、教師の言葉に従う子供たち。
当然、言うだけではお菓子は現れない。
「それじゃあ、『お菓子』を『指導者様』に変えてみたらどうかしら?」
目を瞑る子供たちの机の上にお菓子を置いていく教師。
「さぁ、瞑っていた目を開けてみて」
目を開けると目の前にお菓子を見つけ、喜ぶ子供たち。
だが、1人反抗していた少年は、薄目を開けて全てを見ていた。
「お菓子を置いたのは、『指導者様』じゃなくて先生じゃないか!」
優しく微笑む教師。
「そう、実際にお菓子を机の上に置いたのは先生です」
あっさりと認められ、きょとんとする少年。
女性は、少年を賢いと褒めながら言葉を続けた。
「いくら誰かに祈っても、本当は何も出て来ません。
もし、何かしてくれる人がいるとすれば、それは神様なんかじゃなくて、
先生や他の人の力なの」

言葉に詰まる少年を、他の子供たちも先生の様に褒め始めた。


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続けて教師は、新学期のクラス委員長を誰にしようかと話し始めると、
子供たちはこの少年がいいと口々に言い出した。
まんざらでもない様子の少年。
教師は、クラス委員長の最初の仕事として、
掛けられた額を外してしまおうと提案する。
すると、1人の少女が「大切なものでは?」と言い出した。
優しく微笑む教師。
「本当に大切なのは、中に書かれた言葉でしょう?
だったら、それはみんなの心の中に掛けておけばいいわよね」

子供たちは納得し、額を外した少年はそれを窓から投げ捨てた。
地面で砕ける額を見て、歓喜する子供たち。


子供たちを見て微笑む教師の腕時計は、ちょうど23分を経過していた。
すると教師は、自分の服と同じ制服と新しい教科書を取り出す。
「古い教科書を破った人から、取りに来てください」

もう、疑問を唱える子供はいなかった。


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お父さんは自由な鳥になった
お母さんは鳥かごの中で浮いていた
ぼくは知らない鳥かごに入った
新しい妹みたいに芸ができないよ
ぼくもあした自由になるんだ


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長年連れ添ってきた彼女とついに結婚することになった。
彼女は嫉妬心がとても強く、
俺が他の女の子と話をするだけですぐに不機嫌になるんだ。
でも、本人は浮気を全くしないし、俺だけを愛してると何度も言ってくれた。
だから俺は、彼女と結婚することに決めたんだ。

挙式を終えて、一戸建てを買って、2人の新婚生活が始まった。
妻は毎朝俺を玄関から見送って、 夜は美味い料理を作って待っていてくれる。
俺は本当に幸せだった。

それから数年後、妻が初めての子供を身籠った。
医者によると女の子だそうだ。
俺は初めてのことで、それこそ大喜びした。
妻も笑顔で自分のお腹をなでて喜んでいた。

やがてお腹もぽっこり出てくるようになり、俺は妻の腹に耳を当てて、
もうすぐ生まれてくる我が子の様子が気になって仕方がなくなるようになった。
朝起きた時、夜帰った時と、
俺は毎日のように妻のお腹から我が子を可愛がった。

ある日、病院から仕事先に一通の電話が鳴った。
妻が流産したという。
俺は上司に無理を言って、急いで妻が担ぎこまれた病院に向かった。
そこで俺は、産婦人科の担当医から、流産の事実を聞かされた。
嘘ではなかった。

俺は病室で寝ている妻のところへ向かった。
妻は疲れたような、悲しいような目で窓の外を眺めていた。
俺は「残念だったな....」と呟いた。
妻も「....そうだね」と呟いた。

その後、振り絞るような声で、こう続けた。
「でも私、また子供つくるから。
死んだあの子の分も生きられるような、元気な男の子をね....」


http://blog.cnobi.jp/v1/blog/user/7170818ba3679a9c8a30a9deff30364e/1308221987

ある夜、彼女は男を連れて帰ってきた。
飲んできたのか、彼女の頬は上気していた。
どんなに俺が君の帰りを待ちわびていたか、分かってない。
もしかしたら、わざとかもしれないけれど。

彼女は、おもむろに服を脱ぎ、俺の目の前で男を誘った。
ベッドに倒れ込んで、獣の様に愛し合い始めた。
濃厚な口付け。なまめかしい彼女の裸体。這い回る男の舌先。
彼女のいやらしい声が部屋中に響き渡った。
見るに耐えない光景だ。
ギシギシとベッドが軋んでいる。
目を凝らすほか、俺にはなす術などない。
いつの日からか、俺はここでただ君を見ている。
飢えて滅びるまで、こうしているのだろうか。

目の前では2人が情事を済ませたようだった。
射精した男は、疲れと酒のためか、眠ってしまっていた。

恍惚の表情で、彼女は眠った男の手足を頑丈に縛った。
濃紺のシーツのベッド下から、ハンマーを取り出して一振り、壁に穴を空け始めた。

また仲間が増えるのか。
俺は溜め息を吐いた。


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とある病院での夜中の出来事。
記録室で書き物をしていたら、ひょっこりと部屋を覗く気配がした。
上の階の病室で入院していた田坂さんだ。
「どうしたの? 田坂さん」
声を失う手術をした田坂さん、困ったように立っている。
「家に電話? 何かあった? あなたの書類なら今書いてますよ?」
彼が小指を立てた後、額に手を当てて頭をゆらゆらさせている。
「小指....女性ってこと? ああ、奥さんのことね。....気分悪い?」
そういえば、田坂さんには奥さんが今夜付き添ってることを思い出した。
「奥さん、気分悪いの? 見に行った方がいい?」
すると彼がニッコリしてうなずいた。
私は急いで彼のいる部屋に走った。

部屋が見えた時、部屋から娘さんが出てきて「すいませんお袋が!」と叫んだ。
具合の悪そうな奥さんを、娘さんと2人で病棟に移し、
疲れによる貧血だろうということで、点滴をしてしばらく様子を見ることにした。

しばらくして様子が落ち着いたのを見て、
家に帰れるように、奥さんと娘さんに田坂さんの診断書を渡した。
同時に、彼が奥さんの不調を教えてくれた事も。
なんだか奥さんはまた泣きだしいて、さすがの娘さんも泣きそうだった。

明くる日、迎えに来た車を見送って、つぶやいた。
「さよなら、田坂さん」


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最近、残業徹夜続きだ。
その日も残業で会社に残っていた。
すると携帯が鳴り出し、見ると実家の母からだった。
電話に出るといきなり、
「ちょっと、タカシ!? お爺ちゃまがたった今亡くなって大変なのよ。
急で悪いけど、あなたこっちに来れる?」
祖父は小さい頃よく遊んでくれて、私は大好きだった。
「わかった、仕事終わったらすぐ行くよ。
会社は明日休ませてもらうように頼んでみる」

仕事を早めに切り上げ家に帰り、車のエンジンをかけ実家に向かった。
ここから実家までは、夏の昼間でも3時間。
真冬のこの時間なら、4時間位かかるかも。

.....2時間位走っただろうか。
辺りはすっかり田舎で、道路もアイスバーン状態。
同じ車線には俺の車だけで、対抗車もたまにすれ違うだけだ。
そんな雰囲気のせいもあり、睡魔が襲ってくる。
ああ、瞬きしただけでも眠ってしまいそうだ。
俺は眠たい目を擦りながらも、必死でハンドルを握っていた。


ふと気づくと、周りに懐かしい町並みが。
実家は次の角を曲がってすぐだ。
その角を曲がって実家の前に着くと、家の前に誰かが立っているのが見えた。
何と、死んだはずの祖父だった。
訳もわからずとりあえず近寄ると、祖父が言った。

「なんだ。お前も来たのか」


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後ろからポンポンっと肩を叩かれた。
ん? なんだ? 一瞬ビクッとしたが、ゆっくり振り返ってみた。
後ろ向きに立ってるやつがいたのでちょっと怖いけど肩を叩いてみた。
ゆっくり振り返って来たので怖くなって後ろを向いた。
後ろからポンポンっと..


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猫がこっちを見ている。
ん? なんだ? でも、よく見ると俺の顔を見てるんじゃなく、
ちょっと斜め後ろぐらいをじーっと見ている。
ぞっとして振り返るが何もない。
なんだ、こいつ? 気持ち悪い。
シッ!
手を振って追っ払おうとしたが、知らん顔してじーっと俺の斜め後ろを見てる。
あぁ、なんだ。
俺の斜め後ろを見てるんじゃなくて、
ただ、見えてないんだ。


http://blog.cnobi.jp/v1/blog/user/7170818ba3679a9c8a30a9deff30364e/1307937001

盲目のその女は非常に裕福な暮らしをしていた。
望んで手に入らないのは視力だけだった。
そんな彼女に手術の話が舞い込む。
「残念ながら完治はできません。目が見えるのは5分間だけです。
再手術も不可能。それでもよろしいのですか。」
もちろん女は承諾した。
ずっと夢見てきたのだ。
「貴方はどんな顔? 色ってどんなもの? いいえ、見えるってどういうことなの?」
そして生涯たった1度、わずか5分の視力を手に入れる手術が行われた。

術後の経過は順調、いよいよ包帯をはずす日が来た。
瞼越しに感じる光。
そこに広がる世界に胸を躍らせ目を開けた瞬間。
部屋の明かりが落ちた。
停電だ。
彼女は絶叫した。
「お願い! 見せて! たった1度なのよ!」

5分後、部屋のライトが点いた。


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最近、近所の公園で猟奇殺人事件が頻発してる。
ロープで絞殺してから目玉をえぐり出し、空いた眼孔を犯すという惨い事件。
学校からも公園には近付かないように言われていた。
でも私の友達のA子が被害にあった。
塾の帰りに近道しようとして襲われたのだ。
人はあまりに悲しいと涙も出ないんだって知った。
同時に、私の大切なA子にこんな酷い事をした犯人が許せなかった。
だから私は友達と相談して、私が囮になって犯人をおびき出して捕まえてやろうと考えた。

友達は「危いから警察に任せよう」って止めたけど
小さな頃から親に武道を叩き込まれ、
それなりの自信があった私は無理矢理に頼み込んだ。
最後には友達も折れ、しぶしぶながら手伝ってもらえる事になった。

深夜の公園の道は真っ暗だった。
月明かりと街灯が無ければ何も見えないに違いない。
初日、2日目と犯人は現れなかった。
そして3日目の夜、ついに犯人らしき不審者は現れた。

後ろに人の気配を感じた私は、気付かず携帯をいじるふりをしてゆっくり歩いた。

すると突然、私の首に紐のような物が掛けられ、凄まじい力で絞め上げられた。
でも絞められるのは最初から分かっていたの。
私は振り向き様、この不審者に飛び掛かった。
暴れる不審者の肩をアスファルトに捩伏せる。
ナイフらしき物で何度か切り付けられるが、
私は興奮しているからなのか痛みはない。


.....あたしがそいつに馬乗りになった所で月が雲間から顔を覗かせた。
か細い月明かりでははっきり見えなかったが、
男の顔は恐らく恐怖に歪んでいたのだろう。
短い悲鳴が聞こえた。

冗談じゃない。
あたしは今のあんたよりずっと怖かったよ。


http://blog.cnobi.jp/v1/blog/user/7170818ba3679a9c8a30a9deff30364e/1307938137

地下鉄を降り、地上に出ると結構な雨。
行き交う多くの人の間を縫うように歩いているといきなり肩を掴まれた。
驚いて振り返るとそこにはタクシーの運転手が。
険しい形相の彼は私の肩を掴んだまま、無言でタクシーに押し込もうとするではないか。
わけのわからぬまま、無理矢理に乗車させられ、急発進するタクシー。
我に返り、抗議しようとした私に運転手が青ざめた顔で言った。
「無茶してすまなんだけど、
誰もいない道で何かを避けるように歩いていたあんたを見て
『助けなあかん!』と思たんや! 」


http://blog.cnobi.jp/v1/blog/user/7170818ba3679a9c8a30a9deff30364e/1307938279

女上司がいた。
「体調悪いのに仕事なんか来て、あなた馬鹿? 私はフォローしたくないよ、帰りなさい」
他の人の休日出勤も、
「私はやることあるからついでにやる。経費かかるから出てくるな」とか。
後で知ったが、彼女は休日出勤手当もらってなかった。
そつなく何でもできる人で、皆が何かとその人に頼ってた。
彼女は本当は営業なのだが、雑務で担当の顧客に手が回らない事を気にしてて、
でも自分が残業すると部下が気を使うからと、終業後にまた会社戻ったりしてた。
これも後で知った。
「こいつに飲ますなんて勿体ない、私にくださいよ〜」と、
体調不良で熱があるのに、飲めない部下の代わりに接待で酒飲んだりしてた。
仕事なんかに身を捧げちゃいけないってよく言ってたのを思い出す。
綺麗な人だったのに独身だったな。

なんで首吊るまで何も言ってくれなかったのかな。




プロフィール
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ポテチ/ラダ
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50
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男性
誕生日:
1974/04/11
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趣味:
単館系映画鑑賞、音楽や絵画鑑賞、そして絵を描くことと...
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