ポテチの水彩絵の世界にようこそ!
気分でコメントや画像とか、恐いのや面白い毒ある話とか、
現実の花の色と違ったりとか、妙な感じです。
今夜は怖いから全ての部屋から風呂まで、全部の電気つけて風呂に入ってきた。
「ダルマさんが転んだ」は平気だった。
「独りかくれんぼ」も人形が追いかけてこなかった。
2chで一時期、話題になった「誘い水の呪い」も特に問題はなかった。
「おじゃま道草」も「鍵」も影響はなかった。
全身像が写る鏡にも濡れた全裸の自分が写るだけ。
むしろ風呂を出て部屋の電気をつける時、
掛けてた鞄が落ちた時のほうが驚いた。
自分の住んでるアパートはかなり古くて、隣の声が丸聞こえ。
今夜も、隣に住んでる一家の団欒の声が聞こえてくる。
「ノブちゃん、お口にケチャップが付いてるわよ。
ほらほら、また食べこぼしてる。
キーくんは、今日はたくさん食べたのねえ、えらいわぁ。
さすがはお兄ちゃんね」
楽しそうな声が洩れ聞こえる中、自分は1人でコンビニ弁当を食べていた。
もう、慣れたから、いつものこと。平気だよ。
中年女の声しか、聞こえてこないことぐらい。
そういえば、自分には伸彦という弟がいた。
弟との思い出は、父と仲の良い隣人の女性からもらった飴玉を弟に分けてあげて
一緒に食べた記憶だけ。
だけど、生後1ヶ月で亡くなった弟は、今でも自分の心の中にいます。
4日前、自分の誕生日に友人たちを呼んでホームパーティを開いた。
その時、部屋の中で皆の写真をとってみたら、後日、変なモノが映ってた。
背後の押入れから見知らぬ青白い顔の中年女が顔を出して、睨みつけている。
これは....ということで、知り合いの霊能者に写真を鑑定してもらった。
霊能者曰く、「この写真からは霊気を感じない。心霊写真でも何でもないです」
なんだか妙に心配して損をしたようだ。
あれから自分は一本足。
今の仕事は食べること。
むしろ食べることを拒めないのだけれど。
今もたらふく食べさせられた。
もう入らない。
向こうから人が来る。
ヤツか。
また自分の腹を開くのだろう?
取り出された自分の中身は、届けられる。
もちろん、あなたの家にも。
こうして自分はここ毎日のように深紅に染まっている。
「お母さんお腹空いた。おやつない?」
「しょうがないわね、その辺に大福があったからそれでも食べてなさい」
「わーいわーい。あ、バナナもある、これも食べていい?」
「ちょっと古いみたいだけど....うん、これなら大丈夫ね」
「わーい、わーい」
深夜の墓地にて
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私は、夢をみておりました。
昔から夢をみている時、たまに自分は今、夢をみているんだと自覚する事がありました。
この時もそうです。
何故か私は薄暗い無人駅に独りでいました。
これはずいぶんと陰気臭いを夢だと思って佇んでいると急に、
駅に精気の無い男の人の声でアナウンスが流れました。 それは
「まもなく、電車が来ます。その電車に乗るとあなたは恐い目に遇いますよ〜」
と意味不明なもの。
まもなく駅に電車が入ってきました。
それは電車というより、よく遊園地などにあるお猿さん電車のようなもので
数人の顔色の悪い男女が一列に座ってました。
私はどうも変な夢だなと思いつつも、
自分の夢がどれだけ自分自身に恐怖心を与えられるか試してみたくなり、
その電車に乗る事に決めました。
本当に恐くて堪られなければ、目を覚ませばいいと思ったからです。
私は自分が夢をみていると自覚している時に限って、
自由に夢から覚める事が出来ました。
私は電車の後ろから3番目の席に座りました。
辺りには生温かい空気が流れていて、
本当に夢なのかと疑うぐらいのリアルな臨場感。
「出発します〜」とアナウンスが流れ、
電車は動き始めました。
これから何が起こるのだろうと私は不安と期待でドキドキしていました。
電車はホームを出るとすぐにトンネルに入りました。
紫色の明かりがトンネルの中を怪しく照らしていました。
そういえばと私は思いました。
このトンネルの景色は子供の頃に遊園地で乗ったスリラーカーの景色だ。
この電車だってお猿さん電車だし、
結局、過去の私の記憶にある映像を持ってきているだけで、ちっとも
恐くなんかないな、とその時、
またアナウンスが流れました。
「 次は活けづくり〜 活けづくりです〜」
活けづくり? 魚の? などと考えていると、
急に後ろからけたたましい悲鳴が聞こえてきました。
振り向くと、電車の一番後ろに座っていた男の人の周りに
4人のぼろきれのような物をまとった小人がむらがっていました。
よく見ると、男は刃物で体を裂かれ、
本当に魚の活けづくりの様になっていました。
強烈な臭気が辺りを包み、耳が痛くなるほどの大声で男は悲鳴をあげ続けました。
男の体からは次々と内臓が取り出されて、
血まみれの臓器が散らばっています。
私のすぐ後ろには髪の長い顔色の悪い中年女が座っていましたが、
彼女はすぐ後で大騒ぎしているのに、
黙って前を向いたまま気にもとめていない様子でした。
私はさすがに、想像を超える展開に驚き、本当にこれは夢なのかと思いはじめ、
恐くなり、凄く恐くなり、
でももう少し様子をみてから目を覚まそうと思いました。
気が付くと、一番後ろの席の男はいなくなっていました。
しかし赤黒い、血と肉の固まりのようなものは残っていました。
後ろの中年女は相変わらず、無表情に一点を見詰めていました。
「 次はえぐり出し〜 えぐり出しです〜」とアナウンスが流れました。
すると今度は2人の小人が現れ、ギザギザのスプーンの様な物で
その中年女の目をえぐり出し始めました。
さっきまで、無表情だった彼女の顔は、痛みのためかものすごい形相に変わり、
私のすぐ後ろで鼓膜が破れるぐらい大きな声で悲鳴をあげました。
眼から眼球が飛び出しています。
血と汗の匂いがたまりません。
私は恐くなり震えながら、前を向き体をかがめていました。
ここらが潮時だと思いました。
これ以上付き合いきれません。
しかも、順番からいくと次は3番目に座っている私の番です。
私は夢から覚めようとしましたが、
自分には一体どんなアナウンスが流れるのだろうと思い、
それを確認してからその場から逃げる事に決めました。
「 次は挽肉〜 挽肉です〜」とアナウンスが流れました。
....最悪です。
私がどうなるか、容易に想像が出来たので、神経を集中させ、
夢から覚めようとしました。
(夢よ覚めろ、覚めろ、覚めろ)
いつもはこう強く念じる事で成功します。
急に「ウイーン」という音が聞こえてきました。
今度は小人が私の膝に乗り、その音がする器械を近づけてきました。
たぶん私をミンチにするためのモノだと思うと恐くなり、
(夢よ覚めろ、覚めろ、覚めろ)と目を固くつぶり、
一生懸命に念じました。
「 ウイーン 」という音がだんだんと大きくなってきて、
顔に風圧を感じ、もうだめだと思った瞬間に静かになりました。
なんとか、悪夢から抜け出す事ができました。
全身汗でびしょびしょになっていて、目からは涙が流れていました。
私は、寝床からソロソロと台所に行き、
水を大量に飲んだところでやっと落ち着いてきました。
恐ろしくリアルだったけど、
所詮は夢だったのだからと自分に言い聞かせました。
次の日、学校で会う友達全員にこの夢の話をしました。
でも皆は面白がるだけでした。
そう、所詮は夢だからです。
それから4年間が過ぎました。
大学生になった私はすっかりこの出来事を忘れ、バイトなんぞに勤しんでいました。
そしてある晩、急に始まったのです。
「 次はえぐり出し〜 えぐり出しです〜」
....あの場面からでした。
私はあの夢だとすぐに思いだしました。
すると、前回と全く同じで2人の小人があの女性の眼球をえぐり出しています。
やばいと思い、 (夢よ覚めろ、覚めろ、覚めろ)とすぐに念じ始めました。
今回はなかなか目が覚めません。
(夢よ覚めろ、覚めろ、覚めろ)
「 次は挽肉〜 挽肉です〜」
いよいよやばくなってきました。
「 ウイーン 」と近づいてきます。
(夢よ覚めろ、覚めろ、覚めろ、覚めてくれ)
ふっと静かになりました。
どうやら何とか逃げられたと思い、目を開けようとしたその時、
「また逃げるんですか〜 次に来た時は最後ですよ〜」と
あのアナウンスの声がはっきりと聞こえました。
目を開けるとやはり、もう夢からは完全に覚めており、自分の部屋にいました。
最後に聞いたアナウンスは絶対に夢ではありません。
現実の世界で確かに聞きました。
私がいったい何をしたと言うのでしょうか?
それから、現在までまだあの夢は見ていませんが、
次に見た時にはきっと心臓麻痺か何かで死ぬと覚悟しています。
こっちの世界では心臓麻痺でも、あちらの世界は挽肉です。
ある金貸しの男が、金を貸し付けていたある中年男の家に取り立てにいった。
「出すもん出しやがれ」と家中の家具を引っくり返し、畳まで引っくり返した。
するとそこから壱万円札が30枚ほど隠してあるのが見つかった。
「なんだい、あるじゃねえか。面倒掛けやがって」と全部持っていこうとすると、
中年男は目に涙を溜めながら、自分の子供は重い病気にかかって死にかけていて、
治療に必要な高額な薬を買うためにそのお金が必要だということを、
必死になって訴えた。
それを聞いても顔色ひとつ変えない金貸しの男。
「お前のガキの生死は俺の知ったことじゃねえ。道理を弁えてもらおう」
彼はその現金を懐にねじ込むと、その家をあとにした。
翌週、金貸しの男が一流レストランで食事をしていると、
テーブルに自分の手下がやって来て言った。
「先週、ボスが取り立てにいった死に掛けの赤ん坊のいる男のことなんですが」
彼はうなずいて聞いた。「おう、どうした?」
「実は」と手下は続けた。
「なんか嘘臭いのでこの男をとっちめたら、あの話はでっちあげでした。
病気の赤ん坊なんていませんでした。結婚すらしていません。
ボスを騙そうとしていたんです」
「すると、死に掛けている赤ん坊なんていないのか?」
「そのとおりです」
すると、彼は笑いながらこう言った。
「そうか。そいつは今週で一番の良い知らせだ」
ある日突然、夫が「耳が聞こえなくなった」と言い出し、
病院に行くのだが原因不明、ストレスだろうと言われた。
仕事もできなくなり休職、後に退職。
妻はそんな夫を支えるため、働きに出ることに。
朝から夜まで働き詰めて、帰宅後は愛する夫の世話をする毎日。
そんな夫は半年ほど過ぎて、ようやくリハビリに散歩に出れるようになった。
ある日、夫に「こんな自分と一緒では不幸になるから別れてくれ」と言われ、
妻は夫のことを想い、調停なしの離婚。
しばらく過ぎた後、元妻がある飲み屋に客の男と行くと、
そこでバリバリ働いている元夫を発見。
元夫に話を聞くと、以前からこの飲み屋の女将と不倫していて、
離婚直後に再婚したらしい。
耳が聞こえないのも何もかも、女将と結婚するための全て演技だったのだ。
「協議離婚に同意したんだから今更訴訟は無理」と、せせら笑う元夫。
絶望に支配されて呆然とする元妻。
ちなみに、調停に持ち込まなかったので、離婚後でも訴訟可能とのこと。
元妻曰く、「だからといって、何になります?」って、
まったく、勘弁してくれよ。
そんなこと俺に、突然聞かれても困るし、忙しいんだよ。
俺は何も答えずに通り過ぎていった。
さて、ここは仕事の帰りにいつも通る踏み切りなんだけど、
鬱蒼として人通りの無い昼間でも薄暗い踏み切りなんだ。
そのくせ、人身事故が多発して、幽霊話が後を絶たないとのこと。
「血だらけの女が立ってた」とか「子供の泣き声が聞こえる」等いろいろ。
俺は足早に踏み切りに差し掛かったその時、後ろからまた声が。
「あのう....すみません....」消え入るような女の声。
振り返ると暗闇に髪の長い女がぼんやりと立っているじゃないか。
「途中まで一緒に歩いてくれませんか....独りじゃ寂しくて....ねぇ」
女は俯きながら、覗き込むような目で俺を見つめてきた。
なんか気味の悪い女。
でも断る理由も無いし、まあ、俺は別にイギリス人じゃないが、
一応、紳士らしくということで、「いいですよ」なんて了承したよ。
すると女は俺の腕に手を回してきた。
これがぞっとするほど冷たい腕。
まるで濡れてるみたいだ。
ああ、断ればよかった。って今更、後悔したけど、もう遅いか。
「この踏み切り....人が沢山死んでるんですよね....」
いきなり何を言い出すんだ、この女。
「幽霊が出るって....あなた、信じます?」
うわ〜、なんだよこいつ!
「私は....信じるんですよ....霊の存在って....」
やれやれ、気味の悪い女に関わってしまった。
なんか影が薄いし生気もないし。なんで了承してしまったんだろ。
ああ、一刻も早くこの女から離れたい。なんたって、俺も忙しいし....
「あの、もうこの辺でいいですか?
あ、ほら。コンビニの看板が見えてきたし、もう怖くないでしょ」
「待って....もう少し、もう少しだけ一緒にいて....」
なんだ、この女。俺の腕を掴む力が強くなってくる。
「ちょっ、俺、忙しいんですよ。もう勘弁してくださいよ〜」
「何がそんなに忙しいのっ?!」
突然、女は俯いていた顔を上げて、カッと両目を見開いて俺を睨みつけた。
青白い顔、血走った目、真っ赤な口.....やるじゃないか!
それじゃあ、俺も。
次の瞬間、声も上げずに女は失神して倒れた。
ったく、勘弁してくれよ、俺、忙しいんだよ。
ここで無くした自分の首を捜さなきゃいけないんだから....
ある青年が近所の女性を刺殺したのだが、
殺された女性はその青年の実の母親だった。
母親は実の息子に覚られないよう、頑なに冷たい態度をとり続けた。
結局、それが殺害の動機となってしまった。
青年は実の母親がいることは知っており、日頃から再会を熱望していた。
殺された女性が実の母だと知らされた青年はパニックに陥り、
取調べにいた警官を殺してしまった。
実は殺してしまった警官の娘はこの青年の交際相手だった。
父親に一切の交際を禁じられていた娘は当然、
青年を家族に紹介することはなかった。
さらに娘は青年の子を妊娠していて、
後に男の子を出産した。
父親を殺した憎い青年、かたや自分の最愛の男である青年。
その相反する感情を持ちながらの子育ての毎日。
父親にも青年にも似た子供は次第にこの娘を追い詰めていく。
このままだと私が狂ってしまう。
娘は息子が2歳の時に養子に出すことに。
そして、過去は未来へと繰り返される。
20年後、娘は息子に殺されてしまう。
あの青年の母のように。
ある金持ちの夫婦に女の子が生まれたが、その子には手足がなかった。
不具の子に激怒した父親は、娘を蔵に閉じこめてしまった。
母親は父親の目を忍びながら蔵に足を運び、娘の世話をした。
暗闇の蔵の中しか知らないまま、娘は過ごした。
ある日、娘は母親に尋ねた。
「お母様。どうして私には手足がないの?」
母親は動揺しながら「大きくなれば生えてくるよ」と答えて泣いた。
それから数年後、娘は白い陶器のように美しく成長していた。
ある日、父親が蔵にやってきて、娘を罵倒しつつ、武者ぶりつき、
挙げ句の果てには犯してしまった。
娘は自分が何をされているのか理解できない。
次第に高まる不思議な気分に酔いしれ、受け入れ続けた。
それから毎日のように、夜になると蔵に足を運ぶ父親。
荒い男の息と甘美な女の呻き声。
更に時は経ち、腹が膨らんでいく娘。
母親は娘の身に何が起こったのか、自分の夫が何をしたのか、
ようやく気づいた。
驚き恐れる母親に娘は美しい眼差しで微笑みかけた。
「お母様。私のお腹に赤ちゃんがいるの。赤ちゃんはきっと手足が揃っているわ」
錯乱した母親は娘を鉈で殺してしまった。
そして腹を引き裂き、中の子供も殺して血の海に。
死の淵に沈みながら娘は喜ぶ。
「....ほら、お母様。手足があったわ」
母親はそのまま蔵に火を放ち、娘とともに焼き果てた。
父親は....
ある町外れに売春宿があった。
そこはどこにでもある娼館だが、
裏では得意客に限り、奇形の娼婦を使って営んでいた。
手足のない女や、皮膚の爛れた女、乳房の多い女などに混じって、
シャム双生児の女がそこで働いていた。
1つの体に頭だけが2つあるタイプで、
片方の頭は傷ひとつ無い美しい容貌をしていたのに、
もう片方は皮膚病に冒されたように醜く崩れていた。
そればかりではなく、どうやら醜い方は知恵遅れでもあるらしく、
美しい方が喋るのに合わせて口を動かしたり、
呻いたりすることくらいしかできなかった。
シャム双生児の美しい方は、次第に醜い方を疎んじるようになった。
常に神経質な態度をとるようになった彼女の売り上げも落ちてきて、
女衒に叱られたり、仲間の娼婦に嘲笑われたりされることに。
この醜い頭さえなくなれば、
他の女たちに見下されるような存在ではなくなるのに。
悪いのは美しい私ではなく、私に張り付いた愚かな醜いこいつの方なのだ。
ある日、思いつめたシャム双生児の女は、鉈で醜い方の頭を打ち落とした。
その瞬間、急に視点が変わることに。
この女は床から、鉈を握ったまま、
首筋から血を噴き出している己の姿を呆然と見上げていた。
この女の本体は美しい方の頭ではなく、醜い方の頭だったのだ。
床に転がった女は後悔するが時すでに遅く、
次第に意識を失っていった。
ある病院へ入院していたはずの男が、柔らかいベッドの上で目覚めた。
ここは病院ではなく、ホテルの一室のようだ。
窓のない真っ白い壁に、真っ白い家具。
もしや、自分は死んだのだろうか。
ここは死後の世界なのか?
考えながら部屋を歩き回るうちに喉が渇いてきた。
ああ、水がほしい。
そう思ったとたんに扉が開き、ベルボーイが水を持ってきた。
腹が減ったと思えば、すぐさま食料が持ち込まれた。
水や食料に限らず、男が欲しいと思ったものは何でも、
ベルボーイが持ってきてくれた。
ある日、一息ついた男はベッドから立ち上がるベルボーイに言った。
「もっと別な場所へ行きたいんだ。
ここは天国なのかもしれないけど、俺には退屈すぎるよ。
もしかしたら、地獄の方がまだマシなんじゃないかな」
全裸のまま、ベルボーイは答える。
「それはあなたの心しだいです」
とあるバーにて。
「田中」と名乗り、隣に座る男の話。
男子高校生時代、剣道部の副将であった彼は、
クラスメイトで柔道部の同じ副将であった中里ととても仲が良かった。
ガッチリ大柄で人懐っこくって男らしい中里。
彼はしだいに、憧れから恋愛の対象へと変わっていった。
ある日、彼は意を決して中里に告白しようと旧校舎に呼び出した。
そんな旧校舎は昔、虐められて自殺した男子高生の霊が出ると言われていた。
当時、旧校舎自体は立ち入り禁止になっており、ましては誰も近づくものがいない。
告白するには絶好の場所だと彼は考えたのだ。
前日、中里には昼休みに来るように伝え、
明くる朝早くに彼は旧校舎の扉の鍵を針金で開け、
中の教室の黒板に大きく「中里、好きです」と書いた。
そこで始業のベルが鳴り、慌てて旧校舎を出ようとすると、
その扉の近くでたたずむ男子学生がおり、
彼は「おい、急がないと遅刻するぞ」と声をかけ、教室に戻った。
授業を受け、昼休みに鼓動を弾ませながら旧校舎へ向かうと、
歩いていた彼の目の前に頭から落ちてきた中里。
幸い、死にはしなくとも意識不明の重体だった。
絶叫する彼。
中里は自殺でということになり、学校では誰が鍵をあけたのかが問題になったが、
彼には疑いすらかからなかった。
しかし「旧校舎に呼び出したのは俺、鍵を開けたのも俺だっ!」と自分を責める。
「このままあいつが死んでしまったら、俺は....」
その日から彼は中里の影に怯える様になった。
血まみれの中里が彼に呻き声を出しながら付きまとう。
絶対に俺を恨んでいる、と中里の影にパニックになった彼。
そこに「田中? おい、田中っ!どうしたっ!」と揺さぶるクラスメイトの清瀬が。
「うぉ?」と、彼は我にかえると、
「どうした、田中。俺は中里じゃなくって清瀬だ。お前大丈夫か?」
正気に戻った彼は、
「中里が俺を恨んでいる!実はあそこに呼び出したのは俺なんだ!」
と、清瀬に打ち明けた。
すると、教室の机が一斉にガタガタッ!と揺れはじめる。
「なんだ? 風...か?」と彼が聞くと、教室を見回してから、
「窓は開いてないぞ」と答える清瀬。
家に帰り、夕食後に軽く眠ると、また血まみれの中里が彼に手を伸ばしてきた。
汗だくで飛び起きる彼。
そこで部屋の電話が鳴り、恐る恐る出ると、
「もしもしっ? 田中?」と清瀬の声。
「ああ、清瀬か....」とホッとしたのも束の間、突然混線し、
「田中....ううぅ.....」と中里の声が。
受話器を投げ、怯える彼。
次の日、彼は清瀬にうながされ、旧校舎へ行くことに。
旧校舎の鍵を開け、「こうやって開けたんだ。こんな事になるなんて....」と
中里との思い出を語りながら、黒板に告白を書いた教室へ向かう2人。
そういえば、新学期の初日早々に中里が、あまり友達のいなかった俺に
なにかしら、いろいろと話しかけてくれたんだったな。
そう、清瀬に語るうちに彼は気づいてしまった。
「そうさ....俺には清瀬なんて友達はいなかった....お前は誰だ?!」
そう言って振り返ると、血まみれの変わり果てた清瀬の姿が。
「....俺は昔、ここで飛び降りた。
死ぬ前も誰も俺に話しかけてくれる生徒はいなかった。
そして死んだ後もっ!でもお前は違ったっ!」
あの旧校舎にいた時、声をかけた男子高生は清瀬だったのだ。
今なら分かる。
きっと中里はこいつから俺を守ろうと出てきてくれていたのだ。
「....俺は嬉しかった。お前を誰にも渡さないっ!」
清瀬に凄い力で窓際に引っ張られる彼。
上半身が窓の外に出てしまい、もう落ちると思った時、
「やめろっ! 助けてくれっ! 清瀬っ!! 清瀬っ!!!」
彼は必死に清瀬の名を呼び続けると、
清瀬は何かを叫び、涙を流して消えていった。
そのまま気を失いかけ、外に転落していく彼。
その時、ふっと手が浮いた瞬間、がっちりと掴む手が。
抱きかかえるように助けてくれたのは中里だった。
そのまま微笑んで消えてしまう中里。
黒板を見ると彼が大きく書いた「中里、好きです」の下に
「俺もだ田中、好きだ!」の文字が。
その日に中里の意識が回復し、半年後には完全に復帰した。
むろん、彼は中里と付き合う事になった。
私「それじゃあ、あなたには素敵な相方が居るってワケだ〜」
彼「いや、彼とは肉体的な相性の相違というか....すぐに別れたよ」
プロフィール
HN:
ポテチ/ラダ
年齢:
50
性別:
男性
誕生日:
1974/04/11
職業:
会社員
趣味:
単館系映画鑑賞、音楽や絵画鑑賞、そして絵を描くことと...
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