ポテチの水彩絵の世界にようこそ!
気分でコメントや画像とか、恐いのや面白い毒ある話とか、
現実の花の色と違ったりとか、妙な感じです。
2年程前から、隣町に住んでる女に言い寄られてた。
高校の時のクラスメートで、性格は悪くないんだけど、
何というか、その気になれなくて、やんわりと付き合えないと断り続けてた。
その頃仕事も上手くいかず、
悪いことは重なるもので、母が歩道橋から落ちて死んでしまった。
同情だけは絶対にされたくないから、母が死んだことを誰にも言わず、
長距離トラックの運転の仕事を暫く休みにして、部屋で独りで落ち込んでた。
母が死んだその日の夜、その女から電話が。
「お母さん亡くなったらしいね」
「......」
「私もね、お母さん死んだんだ.....昨日だよ。家の階段から落ちたんだ.....」
「......え?」
「......一緒だね」
.....この一言で救われた様な気がした。
彼女なら分かってくれると思った。
同情なんていらないと思ってた。
ただ甘えたかったんだ。
抑えてた感情が一気に溢れ出し、大の大人の俺は号泣してしまった。
そんな俺の醜態にも、彼女は一緒になって泣いてくれて、
いつしか彼女のことが好きになってた。
これが俺と嫁の馴れ初め。
よく人の死ぬのがわかる人間っているよね?
自分の母がそうなんだ。
例えば小学校の時、自分をイジメてた奴らが居て
母に相談したら「気にすることはないわ。あの子たち、長くないから」って。
そしたら2日後、川に落ちてみんな死んだ。
川で遊んでて足滑らしたらしい。
あと中学の時もエコひいきばかりで自分の話を聞いてくれない担任のことを相談したら、
また母が「気にすることはないわ。あの先生も長くないから」って。
そしたら学校の帰りに過労でかな?
地下鉄に飛び込んで死んだ。
高校の時も父と喧嘩して母に相談したら
「お父さんも長くないんだから仲良くしてあげて」って言われた。
その後、1ヶ月くらいして長距離トラックの運転手だった父は、
仕事中に事故で死んだ。
整備不良でブレーキがきかなかったらしい。
でも多額と思えるほどの保険に入ってくれていたから、
生活には困らずに済んだよ。
最近、近所で連続殺人事件が起きている。
被害者は全て同じ小学校の子供。
その犯行はとても残虐で、死体は見るに耐えないカタチになっているという。
事件現場に供えられた沢山の花。
しかし、その中にクローバーが大量に供えてある。
他の現場でも、必ずクローバーが大量に供えられている。
どうやら、あるお婆さんが供えているらしい。
歳は80といったところだろうか。とても温厚そうなお婆さん。
涙は見せず、優しい笑顔で花を供え、手を合せて帰っていく。
お孫さんなのだろうか。知り合いの子供さんなのだろうか。
私も花を供えにと思い現場へ向かうと、ちょうどそのお婆さんと会った。
お婆さんはいつものようにクローバーを供えている。
「何故クローバーを供えているんですか?」
「クローバーって、四葉とかあったりして幸せな花じゃない?
向こうでも幸せにしてほしいって意味を込めてるのよ」
そう答えるお婆さんは、とても優しい目をしていたが、時折切ない表情も垣間見えた。
「実はね、私の孫も亡くなってしまったのよ。別の事件なんだけど、学校の事故で。
詳しい事はまだわかっていないらしいんだけどね。
この殺人事件で亡くなった子たち、孫ととても仲良くしてくれてたらしいのよ。
だからこうして、全員にクローバーを供えているの」
涙しながらそう話すと、お婆さんはその場を去っていった。
こんな優しいお婆さんもいるんだな、という思いにふけりながら帰宅した。
気が付くと目の前で自分が寝ていた。
これが幽体離脱なのか?
知らない女が寄りそうように横になってる。
俺の肩に顔をくっ付けてるけど、事故にでも遭って死んだ霊なのだろうか?
顔半分酷い怪我をしている。
うわぁ怖い、と思って見てたら、
こっちに気がついてニヤっと笑って、俺の手を掴むように手を伸ばしてきた。
と、突然後ろで「危ない!」と声がして誰かが俺の手を引っ張った。
振り向くと時代劇の商人の様な格好をした老人だった。
助けを求めるべく、その老人の方に逃げようとしたら
後ろから女が背中に飛びかかってきた。
あまりの恐怖に絶叫した瞬間、目が醒めた。
見えはしないが、隣にあの女がいるのかと思うと怖くて眠れなかった。
次の日、有名な霊媒師に悪霊払いを頼みに行った。
やっぱり事故か何かで死んだ女の霊が取りついてるらしい。
かなり強力な霊だったみたいだが、なんとか除霊できたと言われた。
ほっとして家に帰って、しばらくしたら急に思い出した。
慌ててタンスの奥のアルバムを開くと、
俺が小さい頃にとても可愛がってくれた祖母の写真があって、
まさにあの女だった。
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私はいわゆるパワーストーンや占いが大好きな "スイーツ脳" の女で、
ソレ関係の本も出版している会社専属のライターをしている。
自称、霊感有りということにしているが、実際にあるのかどうかはわからない。
パワーストーンだの、ヒーリングだの、フラワーエッセンスや霊感アロマなどなど、
取材を趣味と実益を兼ねて首を突っ込みまくっている今日この頃。
最近、女性向けの雑誌で「パワーストーン」「ワークショップ」なんて
よく単語を目にすることがあると思うが、あれです。
ああいった関係の記事を書くのが私のお仕事。
その日も、ある山間のヒッピーのたまり場の様な場所で、
ソレ関係のワークショップが開かれるというので首を突っ込んでみることに。
ヘンプ(麻)とか自然食とか売っている店で、見るからに怪しい感じ。
だけど、そこが癒しのスポットとして密かに人気が増してるらしい。
そこの売りは、石を使って相談者のハイヤーセルフ
(高次元の存在・守護霊みたいなもの)とコンタクトをとるというもので、
ワークショップの主催である細身の中年女性が登場。
この方、妖しい雰囲気とか美貌を振りまくなどの胡散臭さは一切なく、
何処にでもいる感じで、話し方とか、第一印象はさほど悪くなかった。
私は、そういう広義の意味での占いみたいなことをする人には、
引っかけとしてわざと「OLです」なんて嘘を吐いてみるんだけど、
この方はそれすらも見破れない程度な霊感の持ち主の様で、
「ああ、これは空振りだったかも」と諦めモードに入ってしまった。
仕事の内容も、過去に私がやり尽くしたことを霊視するだけで、未来視は無し。
肝心のハイヤーセルフからのメッセージも、意味不明で稚拙な内容。
他にも彼女は石とコンタクトを取ったり、
天使が見えたり、妖精を呼んだりできるらしいけど、
どうも眉唾っぽい。
あまりにもなので自ら明かすべく、
「私、スピリチュアル系のライターやってて、実は仕事で悩んでてその相談に来ました」
というと、彼女は打って変わってものすごく食いついてきた。
「是非、私とお友だちになりましょう!是非!是非!」
しつこいぐらい食い下がられて、結局、メールアドレスを教えてしまうことに。
その時、背筋がゾクッと嫌な予感がしたので、
自分の仕事をしている時のペンネームは教えず、
私の本名と生年月日だけ教えて、するべきことをしてから、ここを後にした。
あの日からワークショップ主催の彼女から何回かメールがあったんだけど、
なんとも言えない気持ちの悪さを感じて、メールアドレスを変えてしまった。
彼女のパワーが封じられているという水晶のブレスなんかをお礼にいただいたんだけど、
これまた嫌な感じがして、付ける気にならなかった。
メールアドレスを変更して、2、3日経った頃。
ちなみに、私の部屋はフローリングで、荷物は少なく、
ベッドの代わりに簀の子を床に置き、そこに布団を敷いて寝ているんですが、
いつもの様に眠っていると、夜中にいきなり目が覚めた。
案の定、金縛り。
自分の体が疲れている金縛りなのか、霊由来なのかの区別ぐらいはつくので、
「おお、久しぶりに霊が来た! ネタにしてやろう」
とドキドキしていたら、思いの外、強烈なモノだった。
ズズ...ズズ...と、布団の周りを何か重たい何かを引きずる音。
真上を向いて金縛られているのでそのモノの姿は見えない。
どうやら、腕だけを使って這い回っているらしい。
そんな最中、私は自衛隊の匍匐前進を思いだし、怖いどころか、少し笑ってしまった。
笑いを堪えながら金縛りに耐えていると、
「ヨシノさーん(私の本名)、ヨシノさーん!」と、私の名前を呼ぶ声が聞こえてきた。
何とも馴れ馴れしい霊だな(余裕)、と思ってると、
「.....どうして返事くれないのー!」
なんて言っている。あら、この声。あのワークショップの彼女じゃない。
ワークシップなんて開いて占い師の真似事なんかするくらいだもの。
他人の居る場所に想念を飛ばすぐらいはできるみたい。
取りあえず私は眼球だけ動くので、彼女かどうかを確かめようと、
ちらりと顔を覗き込んだ。
でも彼女かどうかはわからなかった。
包帯で顔中ぐるぐる巻かれていたから。
それでもって、ちょうど目の位置に当たる部分だけ、赤い血の染みが浮き出てて、
それが真っ赤な目に見える。
「うーん。さすがに血の染みってのは嫌だなぁ、サイレント・ヒルみたい(まだ余裕)」
とか思っているうちに、私はすーっと気を失ってしまった。
翌朝、目が覚めると、なんだか部屋中に異臭が漂ってる。
血生臭いとは違う、生命由来のとても嫌な臭いで、あまりの臭さに目が覚めたみたい。
起き上がると、布団の周りの床に大きなムカデが何匹も死んでた。
ただ死んでるだけじゃなくて、何か重い物ですり潰されていて、
私の布団の周りを囲む様にぐるぐると引きずった様な跡があった。
仕事の資料として読んでいた開きっぱなしの本のページの上にも、
私が脱ぎ捨てたままの服や下着の上にも、全部にムカデの体液にまみれ、
それがすでに乾きかけてる状態。
悔しいやら気持ち悪いやらで吐きそうになるわ、泣きながら雑巾で刮ぎ取った。
服は洗っても洗っても臭いが取れないから捨てた。
これにはかなり参ったわ。
後日。
ライター仲間に、そのワークショップの主催者について聞いてみると、
知っている人がいた。
「天使」「妖精」「水晶のパワー」とか精神性を問う様なことを言っている割に、
とにかく上昇志向の強い人で、なにがなんでも名前を世に出したい、
売れたいという気持ちが凄い人として、あまりおススメできないと言う意味で
有名だったらしい。
その方に、体験した話をすると、
「そう言えばその人、足と目が不自由なんだよ」ということでした。
だから匍匐前進で、顔を包帯でぐるぐる巻きにして目から血を流しているんだなと、
納得しました。
私自身を表す本名を伝えたことで、遠隔で飛ばした欲望の塊(念)に対して、
生身である私には金縛りとたくさんのムカデの死骸で済んだけど、
仮の名前であるペンネームを教えてたら、
仕事にどんな影響を及ぼされていたかと思うと、気が気じゃなかったわ。
とあるカフェにて、開き直る男と静かに涙を流す女の会話。
男「もう無理なんだよ」
女「.....」
男「同棲までしといたのに、ごめん。本当にごめんしか言えない。
ごめん、謝ることしか出来なくて」
女「.....」
男「ねえ、何か言ってくれよ。俺ら、なんだかんだ言っても長い付き合いだろ?
最後は笑顔で別れたいんだ」
女「そう、.....いいの? 言っても」
男「え?」
女「それじゃあ、言わせてもらうわ。
一緒に居てくれるのだから見過ごそうと思っていたけど、もう終わり。
私はもう関係ないわね」
これまでの態度が嘘の様にテーブルを叩いて立ち上がる彼女。
男「えっ、えっ!?」
女「浮気相手を私たちの部屋に連れ込んで楽しかった?
結婚資金をこっそり使いこんでまで飲み歩いたお酒は美味しかった?
私が中絶手術を受けた時、仕事だって嘘ついて立ち会わずに合コン行って面白かった?
あなた、私の妹や親友にまで手を出そうとしてたこともとっくに知ってるのよ。
大体ね、今回別れるって言ったのだって新しい女が出来たからでしょう?
....香織さんでしたっけ。彼女、見たわよ。美人ね。
香織さんは私の存在を知らずにあなたと付き合ったみたいだから、
私の知ってるあなたのこと、私を含めて全部教えてあげましょうか?」
男「.....」
女「さあ、何とか言ったらどうなの? あなたが何か言えって言ったんでしょう?
私をそこまで馬鹿にしておきながら、良く最後は笑顔で別れたいとか言えるわね。
ああ、馬鹿らしい。そう思わない? 香織さん。
こんな男の子供なんて身籠ってしまって、正直あなたも不憫でならないわ。
そろそろ痺れを切らせてかなり辛いんじゃなくて? 香織さん。
さあ。椅子を倒せば、全て、楽になるわよ」
男「どっ、どういうことだ!!」
女「.....さようなら」
そして女は携帯電話の通話を切り、店を出ていった。
とある病院で子供が生まれた。
その夜、看護士が巡回すると、なんと子供は息を引き取っていた。
病院は事実を隠蔽するため、すぐに身寄りのない子供を身代わりに用意した。
出産時、母親は意識がなく、自分が産んだ子供をまだ見てはいない。
見た目が瓜二つな子供を選んだため、見破られることはないはずだった。
次の日、母親は子供と対面するなり、鬼の様な形相で叫んだ。
「こいつは私の子のはずがない!!」
俺は腐れ縁で付き合っていた女を殺すことにした。
永年同棲してきた女なんだが、気に入った他の女を抱く度に別れを切り出したものの、
上手く切り抜けられて、結局、別れずじまい。
挙げ句の果てには妊娠、ちゃんと付けたはずなのだがな。
それからというもの、結婚しろ結婚しろ結婚しろ結婚しろ結婚しろ結婚しろ結婚しろ....
とにかくウザいったらありゃしねぇ。
でも、最近の警察は優秀だから、下手に証拠とか残すと捕まりそうだ。
やっぱり殺人は俺には荷が重い。
そんな時、昔の友人に呼ばれ、家を訪ねてみた。
"K" という奴で、今は人気推理作家として名の売れた存在だ。
高校生時代はあいつは根暗なウザったい奴で、
しょっちゅう苛めの対象にされていたな。
ま、主に苛めてたのは俺なんだけどさ。
彼は、笑顔で俺を迎えてくれた。
昔の恨みは忘れている様だし、
最近喧嘩でやられた俺の頬の大きな切り傷についても何も聞いてこなかった。
ま、俺もその方が嬉しいけど。
一緒に茶を飲みながら、彼と語り合った。
主に彼の仕事の内容。
俺が「推理作家って、どういう風にストーリーを考えるんだ?」と尋ねたら、
彼は笑顔で答えてくれた。
「今考えているのは、男が女を殺すストーリーさ。
男は女を自分の家で刺し殺すんだ。
その後、『外出先から帰ったら家に死体が転がっている』と警察に通報するのさ」
「でも自分の家で殺したら足が付くだろ。それにその後警察に通報って....」
「そこがその犯人の頭の良いところでさ。
警察もまさか犯人がそんなバレバレの行動をするとは思わないだろ?
だから男は容疑の圏内から真っ先に外れるって寸法さ」
「なるほどな。男は他に何か気をつけることはあるかい? .....完全犯罪を狙うなら」
「ふむ。例えば、凶器の包丁は近所のスーパーで堂々と買うこと。
下手に顔を隠した方が怪しまれるんだよ。
そのナイフにはしっかり指紋を残すこと。
警察はその指紋がお前のものだなんて考えもしないし、かえって操作を混乱させられる」
さすが、人気推理作家様は言うことが違う。
俺は、その計画で女を殺すことに決めた。
俺は帰り際、意味深にこう言ってやった。
「今日はありがとな。お前と話していて気が晴れたよ」
何もわかってない彼は笑顔でこう答えた。
「それほどでもないよ。あくまでも俺は推理小説のネタを話しただけさ」
David LaChapelle Studio
http://www.lachapellestudio.com/
俺が住んでいた町に廃墟があった。
2階建てのアパートみたいな建物で、壁がコンクリートでできていた。
ガラスがほとんど割れていて、壁も汚れてボロボロだったから、
地元の人間でも、あまりこの場所に近づくことはなかったらしい。
ある日、俺は愚かにも友人と肝試しをすることになって、この廃墟に行くことにした。
まだ昼ぐらいだったから、建物の2階まで上がって建物を探索した。
そしたら並んでいる扉のひとつに、文字が書いてあるものがあった。
友人と近づいて確認してみると、
扉の前に「わたしは このさきの へやに いるよ」と書いてあった。
俺と友人は扉を開けて中に入り、先に進むことにした。
歩いて行くと分かれ道に突き当たって 、
壁に「わたしは ひだり に いるよ」と書いてあった。
少し怖くなったけれど、俺と友人はそのまま左に進むことにした。
すると両側に部屋があるところに突き当たって、
壁に「あたまは ひだり からだは みぎ」と書いてあった。
友人はこれを見た瞬間に、半狂乱になって逃げだした。
でも俺はその場所にとどまって、勇気を出して右の部屋に行くことにした。
部屋に入り進んでいくと、
突き当たりの壁に「わたしの からだは このしたにいるよ」と書いてあった。
そこで下を見ると、
壁に「ひだりの へやから わたしの あたまが きてるよ うしろ みないでね」
と書いてあったので、俺は急いで、その部屋の窓から飛び降りて逃げた。
それからはもう、その場所には近づいていない。
友人に誘われてキャンプに行ったんだ。
遊び疲れてブラブラ1人で歩いてると、結構長い吊り橋があった。
下は川で、落ちたらひとたまりも無い様な高さ。
スリル感を味わいながら渡ってると、いきなり踏み板が外れ転落!
幸い、転落防止用のネットに引っかかり事なきを得た。
俺の悲鳴に気付いた友人が急いで助けに来てくれた。
「大丈夫だったか?」
「ああ。俺、死ぬかと思った」
すると友人曰く、
「ホント、ロープ位修理して欲しいよな」
ああ、暑い。
前も後ろも右隣も、動かない車で景色が塞がれている。
もう夕方だろうか、燃えるような夕陽が差し込んでくる。
車内に閉じ込められてから、1時間は経つだろう。
ラジオを聴いていると、
どうも車数台を巻き込む炎上するほどの大きな事故があったらしい。
死人も出たみたいだが、その辺りの情報は隣の車の男がやけに詳しかった。
携帯しているペットボトルの麦茶を飲む俺に、
同じく隣で立ち往生している男が話しかけてきた。
「....なあ、ひどい汗だな。めっちゃ、首からダラダラ。
今日は、ホント、暑いしツイてねぇな」
黙って暑さに耐えているよりは、誰かと話しているほうが気も紛れるだろう。
俺が事故の話題を振ると、その様子をまるで見ていたように事細かに語ってきた。
....首がさ、取れかけてたンだってよ。こうボキっと。
そうして天を仰ぐようにガクンと頭を倒してみせた。
どうやら玉突き事故を起こした車の持ち主のことらしい。
俺はまた、麦茶を飲んだ。
汗が噴きでるのが止まらない....暑さのせいか?
適当に相槌を返しながら、俺は体にまとわりつくTシャツを引っ張っていた。
ふいに男のふざけた表情が、喜びの顔に変わる。
....じゃ、お先に。
隣の車線がゆるゆると動き出し、坂道を登り始めた。
ああ、ここは坂道だったろうか。
俺の車線はまだか?
ああ、いくら飲んでも飲み足りないくらい喉が渇く。
「やるよ」
そう言って、親父が俺に渡したのは古いカメラ。
「これにはな、人の死に顔が写るんだよ」
「は? 全然面白くねーよ」
親父は黙ったままだった。
数ヵ月後、親父は死んだ。
急性の心臓発作だった。
それから数ヶ月経ち、カメラの話を怖いもの好きの彼女に話してみた。
「そのカメラの話、本当なの?」
「撮ってみるか?」
「そうしよっか」
おい待て、冗談で言ったんだぞ。だが、後には引けない.....
カシャ
「なんだよ、コレ」
俺の顔はいつもと変わらなかったが、彼女の顔が血塗れだった。
「なんかイタズラしたんでしょ!?」
もちろんしていない。
それに、写真を撮ろうと言ったのはそっちじゃないか。
取り乱したまま、彼女は帰ってしまった。
.....俺が逆の立場だったら、そう思うと責める気にはなれない。
数日後、彼女が交通事故で死んだ。
聞いた話だが、顔は血塗れだったそうだ。
「苦しかっただろうな」
写真を見せて以来、ずっと怯えていたらしい。
あの写真を撮らなければ、もっと楽しく数日生きられたんじゃないか、と考えてしまう。
俺は彼女の分も強く生きようと思った。
ある男女がワインを飲みながら、暖炉の前でくつろいでいた。
すると、男が突然泣き始めた。
「ああ、僕はこんなに幸せでいいのだろうか。
僕は今までに3人の妻を亡くしているのに」
女は男の傍に行き、男を慰めた。
「大丈夫よ。あなたには幸せになる権利があるもの。
でも、奥様はどうして亡くなられたの?」
男は泣きながら女の言葉に答えた。
「最初の妻は、心臓発作で。2人目の妻も、心臓発作で亡くなったんだ」
「お気の毒に.....じゃぁ、3人目の奥様も心臓発作で?」
男は涙を拭いながら言った。
「いや、階段から落ちて首の骨を折ったんだ」
女は言った。
「まぁ....お酒に酔って?」
男は言った。
「いいや、彼女だけは酒が飲めなかったんだ」
少年は父親から虐待を受けていた。
学校も暴力を奮ってくる相手が変わるだけでしかないので、不登校状態。
殴られたり蹴られたり、ナイフで手のひらを貫かれたり、火で髪をあぶられたり、
少年の成長と共に延々と続いていった。
その様子をいつも微笑みながら見ている姉がいた。
その家には母親がおらず、酒浸りな暴力親父と幼い弟の食い扶持は姉が稼いでいた。
そして家事も全部やる。
少年は死んでしまうかの様な暴力を受け続ける生活を送っているのに、
姉は父に殴られることも罵られることもない日々を送っていた。
貧しくて惨めな生活の中でも少年は成長していく。
やがては父親の背をも追いぬき、力もついた少年は父親を滅多刺しにして殺した。
そしていつもと変わらず笑っている姉の顔を刃物で傷つけた。
自分を助けもせず、いつも余裕の笑みを称えていた姉が
初めて泣きそうな顔をしたことに少年は笑った。
弟は人殺しでその上顔に傷をつくられれば、
姉はこの家を出て結婚して幸せになることもできない。
俺を助けなかった報いだと少年は高笑い。
狭い部屋に響き渡った。
刑期を終えて出所した少年は、迎えに来た姉の傍らに姉に似た子供を見つけた。
顔の傷はまだ残っているが、姉は誰かと結婚できた様だった。
「女の幸せを手に入れたってわけかよ」と唾を吐きかけながらいう少年。
すると姉はいきなり服を脱ぎ出し、
「女だからって、あんたより酷いことをされ続けたのに、
幸せになんてなれるわけがない!」と叫んだ。
隠されていた首の辺りには顔にあるものに勝りそうな大きな傷が何個もあった。
姉は父にレイプされ続け、その傷は何度も自殺しようとしてできたものだった。
姉の隣に立つ子供の顔を見ながら
「そういえば目元が親父に似ている」と少年は思った。
ネットで知り合ったある男と仲良くなった。
何でも画面上で話をした。
お互いに顔もわからないが妙に気が合った。
趣味も合う様だ。
幸い、家も近い様なので今度会うことにした。
今までオープンにとはいかなかっただけに、こんなことは初めて。
俺は沸き上がる気持ちを押さえるのに苦労した。
俺たちはネットで調べた夜景のよく見える高台の場所で待ち合わせた。
やってきた彼は想像以下だった。
俺たちにはもう言葉はいらない。
自然と手を繋いだ。
期待感だろうか。何の期待か?
彼の激しい鼓動が伝わってくる。
彼が振り向いて目を閉じる。
俺は彼の背中を押した。
かくれんぼをする時に冷蔵庫が近くにあったら、最初に調べなさい。
そう、姉に言い聞かせられていたから、
その通りにしたら親父がでてきて驚いた。
誰もいない駅で電車を待っている。
俺の親父と姉ちゃん元気かなぁ。
家族と会うのも久しぶりだしな。
親父が好きな地酒と地元のお菓子を土産に
電車を来るのを待った。
路線に敷き詰められた石を見ていると、懐かしい少年時代を思い出した。
足で石と石をぶつけては片方を前進させる。
何が面白いんだと感じるが、子供心には面白かったんだろう。
Arena HOMME +: TOKYO DANDY
http://www.tokyodandy.com/2011/04/26/steven-klein-for-arena-homme/
プロフィール
HN:
ポテチ/ラダ
年齢:
50
性別:
男性
誕生日:
1974/04/11
職業:
会社員
趣味:
単館系映画鑑賞、音楽や絵画鑑賞、そして絵を描くことと...
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